出版社内容情報
閻魔大王の依頼を受けて私立探偵が行く……奇想の本格ミステリ他、地獄を巡る八つの情景。古典落語の名作が笑いの天才の筆で甦る!
田中 啓文[タナカ ヒロフミ]
1962年大阪生まれ。2002年「銀河帝国も弘法も筆の誤り」で星雲賞日本短編部門、09年「渋い夢」(『辛い飴』所収)で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。ミステリ、SF、時代小説など多ジャンルで活躍。
内容説明
地獄一の名探偵は閻魔大王から極秘の事件の調査を依頼されるが?地獄で出会った男女の逃避行の行方は?無実の罪で地獄に落ちた男かすべてを野球に託した末に?富士の裾野で演習中の戦車が迷い込んだ先は?…奇想の本格ミステリ他、地獄を巡る八つの情景。古典落語の名作が笑いの天才の筆で甦る。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年、大阪生まれ。神戸大学卒。93年、「落下する緑」が鮎川哲也編『本格推理』に入選。同年、『凶の剣士』(刊行時に『背徳のレクイエム』と改題)が第2回ファンタジーロマン大賞に入選。2002年、「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で第33回星雲賞日本短編部門、09年、「渋い夢」(『辛い飴』所収)で第62回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。ミステリ、SF、ファンタジーと様々なジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
田中さんの他のシリーズで落語家の話を読んでいますが、これはその落語のタネから持ってきたものでしょう。地獄での世界を舞台として8つの話が収められています。現世でのつながりを地獄でも引きずっていたりします。また地獄とは言いながらも現世と同じような問題も起きています。解説にもありますが題名は桂米朝が得意とした上方落語の大ネタの「地獄八景亡者戯」にあります。米朝の話をCDで聴きたくなりまっした。2023/04/11
つぼ
52
地獄社会をしっかりとユーモラスに描いていた。思わず笑ってしまった。地獄に行きたい人(笑)は一読の価値あり!!2016/10/16
のんちゃん
36
地獄を舞台に繰り広げられる8つのお話。探偵物、人情物、恋愛物、お笑い、スポーツ物など等。どのお話もオチがあり、上方落語と深い関わりを持つ作者の本領が発揮されている。どのお話も地獄の描写が生々しく、恐ろしい。しかし、ウィットに富んだ語り口なので、嫌な感じはしない。今までに読んだ事のない物語であった。2017/11/23
kokada_jnet
25
私(だけじゃなくみんな)が好きだった「ユーモア文芸としての日本SF」は、やはり、田中啓文がほぼ唯一の継承者である。2017/02/03
niisun
24
『イルカは笑う』も面白かったですが、これもいいですね♪ 上方落語の大御所“桂米朝”師匠のSF落語『地獄八景亡者戯』に着想を得た短編集。地獄をパロディ化して、ハードボイルドから人情噺、果ては恋愛モノまで様々なジャンルの話を、駄洒落とオチで展開する肩のチカラが、まったく入れずに読める短編集です。個人的にはスポ根に若干の事件モノの要素の混じった『地獄八景白球戯』と、駄洒落連発で水戸黄門をパクった『地獄八景獣人戯』が好きですね。やはり、今、シュールなSFを書かせたら、田中啓文さんか北野勇作さんですね!2016/10/15