出版社内容情報
『新選組血風録』『木枯し紋次郎』『座頭市』『必殺』…傑作時代劇誕生の裏側を証言と秘話で綴る白熱の時代劇史、大幅増補・完全版。
【著者紹介】
1977年生れ。映画史・時代劇研究家。日本大学大学院博士後期課程修了(芸術学博士)。著書に『天才 勝新太郎』『あかんやつら』『なぜ時代劇は滅びるのか』、編著に文藝別冊『五社英雄』など。
内容説明
『新選組血風録』『木枯し紋次郎』『座頭市』『必殺』…数々の傑作テレビ時代劇は京都太秦の「職人」たちの技術と熱意、果敢な挑戦なくしては生まれなかった―多くの証言と秘話で綴る、白熱のドキュメント。時代劇に新たなる光をあてたデビュー作、大幅増補・完全版。
目次
第1章 東映時代劇、テレビへ(輝けるスターたち;大衆娯楽主義 ほか)
第2章 大映・勝プロの葛藤(世界最高峰の撮影所;スタッフはアーティスト ほか)
第3章 松竹京都映画と「必殺」シリーズの実験(置き去りになった撮影所;プロデューサー・山内久司の覚醒 ほか)
第4章 東映の転身(作るしかない会社;二本立て興行の秘訣 ほか)
著者等紹介
春日太一[カスガタイチ]
1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。日本大学大学院博士後期課程修了(芸術学博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.T
24
「羅生門」「雨月物語」「御用金」「木枯らし紋次郎」「座頭市」「鬼龍院花子の生涯」「女殺油地獄」…などなど、自分の好みが大映 映像京都撮影所で撮られたものに偏ってることに気がついた。映像の隅から隅までリアリティを追求した職人芸のようなセット、ライティングの作り込み、それらの効果に登場人物の心象風景すらも反映させていた作品世界を作り上げていた。役者が登場する前から、引きのシーンが何事かの事件性を孕んで感じさせるものであった。2022/10/22
ヨーイチ
24
ザックリ言うと発表は2008年。最近話題の「〜滅びるのか」より古い。僅か10年に満たない年月を思う。「死なない!」とばかりTVに主戦場を移して奮闘するスタッフの記録と言っていい。方やTV側は創成期で何とか質の高いモノ作りを模索していた時代。珍しいのは照明と美術を支えた人たちを検証、いや顕彰している事。少しでも映画製作の現場に興味がある人には面白いかもしれない。「木枯らし紋次郎」の記録は興味深い。もう一つの柱が「仕掛け人〜仕事人」の記録。これには現代に通じる話もある。続く2015/07/13
緋莢
19
2008年に集英社新書で刊行されたものに、加筆して文庫化。映画、TVの時代劇、数々の傑作は、京都の撮影所の職人たちがいなければ生まれなかった。当時を知る人の証言をもとに、映画業界の衰退、TVの隆盛等を絡めながら職人たちの姿を書いています。強力な「木枯し紋次郎」に対抗するために画期的な「必殺仕掛人」が生まれるもシリーズを重ねるごとに存在意義が薄れていく事で、伝統的な手法に回帰して「必殺仕事人」が生まれたという経緯や(続く2021/08/08
たくのみ
12
「古い」「時代遅れ」というレッテルをひきはがし、不死鳥のようによみがえってきた時代劇。「座頭市」「紋次郎」「必殺!」。それぞれ、古いものを壊し、新しい波を作り、しかし必ず、次の波に押し流されていく。だからどんなに窮地に立っても、その再生が可能なはず。映画で、テレビで、時代を支えてくれた先人たちの、栄光と凋落のエピソードは、華やかで、したたかで、しなやか。大いに学ぶものがあります。2015/06/02
0607xxx
10
春日太一氏のデビュー作の復刊。「天才 勝新太郎」「あかんやつら」などと内容が重なる部分もあるが全く気にならなかった。時代劇の栄枯盛衰…「時代劇は死なず!」の題名通り、残していくべき文化の一つだと思う。2016/09/16