出版社内容情報
『広辞苑』基礎語千語の執筆、孤軍奮闘した日本語タミル語同系論研究……「日本とは何か」を追い求めた国語学者の自伝的エッセイ。
【著者紹介】
1919-2008年。東京生まれ。国語学者。著書に『日本語の起源 新版』『日本語練習帳』『日本語と私』『日本語の年輪』『係り結びの研究』『日本語の形成』他。編著に『岩波古語辞典』『古典基礎語辞典』他。
内容説明
『広辞苑』基礎語千語の執筆、戦後の国字改革批判、そして日本語の起源を求めて孤軍奮闘した、日本語タミル語同系論研究。「日本とは何か」その答えを求めて日本語の起源を追究した天才国語学者の生涯。
目次
1 下町と山の手(明治小学校;下町・音と香り ほか)
2 「多力」の友と(疾風と怒涛;茂吉と北条民雄と ほか)
3 不告別(わかれをつげず)(大学に入る;学生と戦争 ほか)
4 言葉と心(「日本語の黎明」;『広辞苑』初版 ほか)
5 両国橋から(子と父と先生と;言葉に執して生きた人々 ほか)
著者等紹介
大野晋[オオノススム]
1919‐2008年。東京深川生まれ。東京大学文学部国文学科卒。国語学者。文学博士。学習院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ribes triste
3
深く感動しました。大野氏曰く「少力」な人間が愚直なまでに真摯に、信念を持って研究に励み、生きていく姿がありました。「国字問題」の顛末は、長年私の中にあった疑問を氷解してくれました。「タミル語」の顛末には、逆境の中にあっても負けない人間としての強さを感じました。2015/01/20
maju N.
2
僕はこういう個人的な体験を素朴に書いたものを読むのも好きだ。これなどは書きぶりに衒いがなくて、人柄が感ぜられる。人間としての普通の生活の上に学問があるのであって、頭と身体が分離しちゃってるのは駄目だなあと最近強く思う。しかし昔の人は若いときにこういう勉強をしてるんだから、偉くなるわけですね。2023/06/25
T.M
1
平易な文章で書かれているので、時間さえあれば一日で読了できる。ページをめくる手が止まらないとはこのことである。 読み終えて少々時間が経ってしまったので、印象のみ記しておきたいと思う。 タミル語起源説の提唱者として、学会では多くの批判もされたそうだが、ことばに対する情熱と慈しみの心は今の日本人に欠けている要素の一つであるだけに、一読の価値はあると思う。2015/03/03
SKH
0
難解言語。2016/07/26
かすり
0
大野晋の本は、学生時代には読んだものだが、言語学に関心がなく、久しく忘れていた。書店で何となく手にとって購入。言語学者でありながら(であるから?)読みやすく簡潔で叙情的過ぎない文章で語られる若い頃の思い出は、淡々と語られる分、より心に迫った。しかし象牙の塔の争いについてはよく分からなかった。2015/05/16