出版社内容情報
もしも鳩のように飛べたなら……伝書鳩を育てる転校生の少年は“心の目”で空を飛べるか? 読書感想文コンクール課題図書の名作
【著者紹介】
東京生まれ。女子美術大学卒業。1988年『少年アリス』で第25回文藝賞受賞。以後『天体議会』『新世界』『野川』他数々のベストセラーで10代から20代の女性を中心に熱狂的に支持されている。
内容説明
もしも鳩のように飛べたなら…転校生の音和が、新しい学校で出会った、少し変わった教師。伝書鳩を育てる楽しい仲間たち。それに、飛べない鳩のコマメ。人は、心の目で空を飛べるだろうか?読書感想文コンクール課題図書となった永遠の名作!
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
東京都生まれ。88年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mii22.
46
どこか架空の世界だけど懐かしい、そして美しく幻想的な世界のお話ではなく、日本の実在する場所が舞台になっている学園ドラマ的な長野作品を読むのはめずらしい。けれども、主となるふたりの少年や鳥(鳩)が登場するあたりや使われているモチーフをみると長野さんらしさが詰まっている作品だと思う。国語教師の語る「蛍」の話には小説を離れて引き込まれ感動した。長野さんの文章力の素晴らしさを改めて感じる作品だった。2022/09/19
Willie the Wildcat
42
変遷。何万年もかけた台地の変遷。必然的vs.恣意的変化。音和親子が吉岡先輩に齎した変化。長年積み重ねた心情への変化。河井先生の説く言葉の力。連想し、描く。心の吐露が心を開く。言葉の積み重ね。コマメの巣立ちが、明日への誓い!という印象。次男の感想文の宿題に先立ち読破したが、次男の感想文が楽しみ!(笑)2014/07/26
ユメ
39
「ここで、きみたちにつかんでほしいのは、意識のなかでの風景のつくりかたなんだ。ことばから連想できるものだけで、思い描くことが大事なんだよ。」国語教師・河合の言葉がはっと胸に響く。これを聞いて、私はこの作品の舞台となる武蔵野台地をスマホで画像検索しようとしていた手を止めた。それが、小説を読む醍醐味を奪いかねない行為だということに気づいたからだ。長野さんの紡ぐ豊かな言葉を頼りに、心の眼で風景を見る。そうして目にした、S山を目指してはばたく鳩の姿は、主人公の心境の変化と重なり、私にとって忘れがたいものとなった。2017/07/02
紅香@新刊購入まで積読消化あと5冊⭐︎
37
親の離婚。時期外れの転校。『意識を変えろ。ルールが変わったんだ』河井先生との出会いが僕の何かを変えていく。。『つかんでほしいのは、意識の中での風景の作り方なんだ。言葉から連想できるものだけで思い描くことが大事なんだよ』私達はいつの間にか差し出された映像に頼ろうとしている。本からは知識を、勇気の出る言葉を、共感するフレーズを、ストーリーを咀嚼するものだとばかり思っていた。時には読んだ冊数や時間を気にすることなく、想像の翼を広げ、言葉の雄大な風景を悠々と飛べるよう鍛錬しなくては。鳩のコマメを見習わなくちゃ。2019/07/14
まゆら
24
野川が流れ、緑溢れる場所に立つ学校に新しく転校してきた中学二年の井上音和は、ある朝出会った少年に新聞部への入部を誘われそこで出会った生徒たちと顧問の教師、新聞部で飼われている伝書鳩との交流で少しづつ変わっていく音和と生徒たちの爽やかな青春ストーリー。この手の教師が生徒達に教え諭す内容の作品は過去作にもあるけど、こんなに現実にある舞台と人間味のある現代人風の会話が展開されるのは初めてかも。感想文の課題図書に選ばれるのも成る程納得です。鳩も可愛らしく、友人や父親との関係に何より教師がとても良いこと言う。良作2014/06/10