河出文庫
貧民に墜ちた武士―乞胸(ごうむね)という辻芸人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 233p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309412399
  • NDC分類 384.38
  • Cコード C0121

出版社内容情報

徳川時代初期、多くの武士が失職、辻芸人になって被差別階級に墜ちた。その知られざる経緯と実態を初めて考察。

【著者紹介】
1938年岡山県生まれ。作家。河出書房新社編集部を経て著述業に。主な著書に『浅草弾左衛門』『車善七』『江戸東京を歩く 宿場』『弾左衛門の謎』『異形にされた人たち』『乞胸 江戸の辻芸人』『吉原という異界』等。

内容説明

江戸初期、天下平定とともに、失職した武士たちは同じ境遇の長嶋礒右衛門のもとに集められ、乞食に身分を落とし、大道芸をなりわいとして生きた。浅草弾左衛門、車善七の支配を受け、以前からその存在を知られながらもその実態がよくわかっていなかった彼らの生態を、豊富な図版とともにまざまざと活写する。

目次

芸人のいる街道
東くだりの浪人
かぶく者と日本橋北
縄張りと和解
家業の十二種
宮芝居禁止
下谷山崎町へ
香具師の見世物
見世物と盛り場
天保の改革
維新の暗部
文明と見世物

著者等紹介

塩見鮮一郎[シオミセンイチロウ]
1938年、岡山市生まれ。河出書房新社編集部を経て、作家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

39
武士とて浪人になれば、身過ぎ世過ぎをするため働かねばならぬ。時代劇では傘張りが定番だが、辻芸人や講釈師といった職に就かなかければならない者も数多いという。そういった身の処し方をする武士は乞胸と呼ばれたという。芸能や見世物等に携わる者が賤民とされていた事は知っていたが、それが武士階級にも適応されるとは思っていなかった。それも鑑札を持っている時といない時で身分が変わるという奇妙さ。ほとんど知らなかった乞胸の発生から幕府の政策に翻弄される過程そして終焉までが、丁寧に描かれていて本当に益する事の多い一冊であった。2015/05/04

ぼちぼちいこか

19
国替え、藩お取り潰しなどで浪人になった武士はどうやって生きていったのか? テレビの時代劇で落ちぶれた武士が傘や提灯など作っている姿をでよく視る。傘だけで充分な日銭が稼げるとは思えない。が、他人より秀でた芸を持った人なら芸で稼げる。それが乞胸(ごうむね)と呼ばれた人々だった。江戸時代は身分制度が厳しい。特にエタ、非人と一線を画した乞胸の身分をこの本に書かれている。江戸時代の風俗も詳しく書かれていて興味深く読んだ。乞胸という身分があったことも初めて知った。2020/10/08

水菜

3
辻芸人や見世物で生計を立てる乞胸(ごうむね)という身分の話。当時の雰囲気や社会制度のことがわかりやすい。また明治維新によってもたらされた「西洋文明」を急進的に取り入れようとする政府と、昔ながらの庶民生活との軋轢も描かれている。p205「二十一世紀のこんにちでも、路上生活者を公園や公道から追い払っている。努力を怠ったからいまの境遇になったのだという暗黙の了解があるためだ〜「ヒューマニズム」や「人権」の強調は、資本主義の競争原理が敗者を路傍にうちすててかえりみないから、その補完のために必要になったイデオロギー2013/09/12

Saeko Ozawa Ujiie

2
江戸時代の賤民の中には、私がこれまで聞いたことのない乞胸や猿飼と言った身分の人がいたという。猿飼は陰陽五行から馬を猿に守らせる習俗があり、武家の厩(うまや)で、祈祷をしていた専門集団であったという。乞胸(ごうむね)は、万歳や曲芸、踊りなどの大道芸をして金をもらった乞食の一種であったらしい。身分的には町人だったが稼業としては非人と同等とされた。 驚いたのは、彼らの多くが武士のなれの果てであったということだ。関ヶ原や島原の乱で禄を失った浪人は、才覚のあるものは儒者や剣術の師範とかになった者や、商人として成功し2014/11/24

でんさん

1
幕末から加速度的に存在が失われていくさまは圧巻2013/08/27

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