河出文庫
白きたおやかな峰

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  • サイズ 文庫判/ページ数 336p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309411392
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

ひょんなことから雇われ医師として参加することになった、カラコルムの未踏峰ディラン遠征隊。キャラバンのドタバタ騒ぎから、山男のピュアにして生臭い初登頂への情熱、現地人との摩擦と交情…。そして、彼方に鎮座する純白の三角錐とは一体何物なのか…。山岳文学永遠の古典にして、北文学の最高峰。

著者等紹介

北杜夫[キタモリオ]
1927年、東京青山生まれ。本名・斎藤宗吉。作家、エッセイスト、精神科医。旧制松本高校を経て、東北大学医学部を卒業。『文芸首都』同人。1960年、半年間の船医としての体験をもとに『どくとるマンボウ航海記』を刊行。同年、『夜と霧の隅で』で芥川賞を受賞。作品に、『楡家の人びと』(毎日出版文化賞)、『輝ける碧き空の下で』(日本文学大賞)など、評伝に、“茂吉”四部作(大佛次郎賞)がある。2011年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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遥かなる想い

170
北杜夫による山岳小説である。 カラコロムに挑む男たちの日々を軽快に描く。 著者独特のユーモアなタッチが心和ませる。 1966年の作品だが、古さを感じない 飄々とした物語だった。2020/05/27

はたっぴ

95
山の日に大好きな山岳小説を読了。学生時代にスキー場の山頂から見た神々しい景色に心を打たれて以来、あの凍りつくような、しんとした空気を体中に吸い込むためにスキーを続けている。登山者ではないが、山の神聖な佇まいには心惹かれるものがある。この作品でクライマー達は命をかけて未踏峰ディランに挑んだ。その大自然の圧倒的な印象とクライマー達の山を愛する姿が、ドクター目線で丹念に描かれている。遠征隊のメンバーや現地人の明るさをユーモアで包み、徹底的に人間を拒むディランのたおやかな峰に畏敬の念を込めた充実の一冊だった。2016/08/11

ヴェネツィア

95
1965年、作者がカラコルムのディラン峰登山隊に山岳ドクターとして参加した体験に基づく小説。ディランは、それまでにイギリス隊、ドイツ隊の挑戦を退け、依然として未踏峰だった。小説は、この遠征隊の準備段階から語り始められ、しだいに速度を上げながら、頂上アタックへと向って行く。ドクターはベースキャンプからC1までしか行かなかったのだが、作家的想像力を駆使して、アタック隊員やサポート隊員の心情や、極限に置かれた彼らの状況を克明に描き出してゆく。最後には、山岳小説としては実に絶妙といえるラストシーンが待っている。2013/08/24

NAO

76
再読。1965年、京都山岳連盟のカラコルムの未踏峰ディラン峰への挑戦を小説化したもの。突然吹き荒れる突風。天候の急変。極限の寒さ。それでも山に登りたいと思う山男たちの素顔が、見事に描かれている。山中の厳しい自然と初夏へと移りつつあるのどかなベースキャンプの対比は、そのまま、厳しさの中で闘っている隊員たちと彼らの中では少し浮いているドクターとの対比でもあるようだ。作者は、ドクターとしてはあまり有能ではなかったようだが、この一風変わったドクターのふるまいは、むしろ隊員たちを和ませたのではなかったか。2019/08/05

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

72
ドクトルマンボウこと北杜夫さんの作品。山岳小説も書かれていたとは知りませんでした。正に「ドクトルマンボウ登山記」とも言えるお話です。山岳小説が好きで色々と読みましたけど、これはいいですね。実際の体験に基づいた小説、ノンフィクションと言ってもいいほどのリアルさではないでしょうか?前半のベースキャンプでの何処かのんびりとした雰囲気から一転、終盤の頂上アタックと7000mでの決死のビバークの緊張感。何度でも読み返したくなる作品でした。★★★★2013/10/02

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