内容説明
私たちはだれも、中身のわからない福袋を持たされて、この世に生まれてくるのかもしれない…見知らぬ客から段ボール箱を預ったバイト店員。はたしてその中身とは?家を出ていった夫の同窓会に、代理出席した離婚間近の妻。そこで知った夫の過去とは!?自分の心や人生の“ブラックボックス”を思わず開けてしまった人々を描く、八つの連作小説集。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年、神奈川県生まれ。90年「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞を受賞。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、97年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木三十五賞、06年『ロック母』で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
262
ああもう、装丁がめっちゃ好み。人生(福袋)はブラックボックス。ただ持たされて、中身は選べない。折り合いをつけて生きていくしかない。2016/12/04
しんごろ
106
タイトルにひかれて買いましたが、てっきりほっこりする話ばかりだと思いましたが、何だろう…なんかムカつくというか、腹立たしいというか、道徳的に納得しないというか、読後感は悪かったです(-_-;)残念ながら自分にはあわない本でした(T_T)2016/04/10
積読亭くま吉(●´(エ)`●)
92
★4・答えが必ず手に入ったり、山場が有って泣き笑いさせられたり、勧善懲悪、艱難辛苦に立ち向かったり…そんな作品が大好きだった頃は、角田作品の良さは分からなくて。今は、短編なら読むのです。その作品世界は何れも、妙に身近で現実的で、まるでありのままの素のままの自分がソコに在るようで。薄い皮一枚のホンの僅かな距離感に、ホッとしながらページを捲る。絡め取られる、包まれる、息がつまる、大丈夫コレは「物語」なのだから。何れの福袋も、開けたく無い福袋。何が入っているのか、開ける前から知っているのに…2016/01/17
dr2006
68
引用中略(私たちは福袋を持たされてこの世に出てくるのではないか。その中には生まれて味わう全てが入っている。希望と絶望、喜びと苦悩、笑いと泣き、愛と憎しみも)角田さんは、人生の最期に自分の経験に基づいてやっと言葉に出来るような事を、いとも明快に文章にできる。つまり、経験という名の「福袋」の中身を開けて見せてくれる。昔ながらの福袋は厳重で中身が解ったりしないし、良いものも欲しくないものも一緒に入っていた。勿論返品なんて出来ない。福袋を人生経験に比喩って纏めた8つの短編。人臭さが匂うシンプルで鋭敏な作品。2019/05/15
団塊シニア
56
人生を肯定も否定もしないあるがままの人生が描かれている8編の短編です、角田さんの小説を読むと、小説のなかに真実が隠されているような気がします。2014/11/24