出版社内容情報
徳川吉宗の幕政改革の失敗に始まる、幕末へ向かって激動する時代の構造変動の流れを深く探る書き下ろし、初めての文庫。清張生誕百年記念企画、大河ドラマの主人公坂本龍馬登場前夜を活写。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ここぽぽ
5
興味深い日本の歴史。間宮林蔵がスパイだったとはしらなかった。徳川家の歴史が庶民の切り口から分かった。農村は大変貧しく苦労して封建社会を生き抜いていたのだと思った。2023/03/12
桑畑みの吉
3
1986年刊行〈現代人の日本史〉第17巻の文庫化となる。”幕末”となっているが享保の改革~黒船来航辺りの従来とは少し変わった時代区分設定である。日本史の教科書のように堅苦しい記述ではなく、清張史観と言える為政者に対する不信、民衆側の視点に立った歴史読み物としてサクサクとページが進んだ。享保の改革の矛盾、商工業の躍進、三大改革に入らない田沼意次の評価が高い。権力者が庶民の為ではなくただ自己保身を目的として政治を行う。国の取り分が増える一方、庶民は貧しくなっていく。令和の現代でも当てはまることだと思った。2022/11/27
NB
1
幕末(ここでは享保年間からの凡そ150年間)の通史だが、庶民の動きや経済史から切り込んだ話。徳川吉宗、田沼意次、松平定信、大御所時代、水野忠邦の政策の教科書的イメージをひっくり返したような視線が面白い。また時々挿まれる庶民エピソード(漂流して外国船に助けられた話や密貿易で富をなした話)も興味深く読みながら始終「へぇ~」がもれた。底本は50年程前に書かれてるのに、密貿易の話では竹島や口永良部島が登場してびっくり。歴史を動かすのは個人でなく庶民群衆パワーだなとつくづく思わされる内容。2015/07/08
つばき
1
タイトルから、もう少し後ろの時代かと思ったら、黒船までで、幕末の動乱に至るまでだった。とてもわかりやすい。何かからの抜粋なのかな、前後があればぜひ読んでみたい。2014/05/21
suzuki-takefumi
1
題名は幕末だが、実際は徳川吉宗から黒船直前までの通史である。個々の人物の事績に焦点を当てるのではなく「歴史の流れ」に焦点を当てている。大雑把ではあるが、全体の流れを俯瞰して見るには適当な一冊。2012/10/09