内容説明
「人生ってきっと、ワタクシたちが考えているより、二億倍自由なのよ」。中学に入ってから不登校ぎみになった幼なじみの犬井。学校という世界に慣れない私と犬井は、早く25歳の大人になることを願う。11年後、OLになった私だが、はたして私の目に、世界はどのように映るのか?14歳の私と25歳の私の今を鮮やかに描く文藝賞受賞第一作。
著者等紹介
山崎ナオコーラ[ヤマザキナオコーラ]
1978年、福岡県生まれ。2004年『人のセックスを笑うな』で第41回文藝賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
81
まるでエッセイを読んでるような、不思議な魅力のある小説だ。 確かに、朝や夜の食事と違って、ランチは学校だったり、職場だったりと外で食べることが多い。 そういう意味では、特別な食事なんだろう。特に人と接することが苦手だと苦痛になるかもしれない。 そんな事考えたこともなかった。 それでも生きていかなければいけない。なんとか持ちこらえろと応援しながら読んだ。 それにしてもいいタイトルだな、これ。 2020/02/14
dr2006
56
今見えているものは人によって違う。みんなが共有しているようなこの世界も、本当はそれぞれの人の側から見たら違って見えているはずだ。14歳の私と25歳の私が、代わる代わる自分の世界観を一人称で語る物語。私とは主人公の丸山君枝だ。14歳の私はいったい何を求めていたの?25歳になったら私はどうなっているのだろう?きっと浮世を楽しんでいるはず。いや、あの時がよっぽど浮世だったのかも。山崎さんの独特な描写に心の隅っこが喚起されて鳥肌が立つ。2017/04/21
にいにい
56
初山崎ナオコーラさん。西加奈子さんの「炎上する君」という短編集に有名作家として登場されていたので、気になって読んでみた。不思議な面白さがある。構成の妙。14歳と25歳の主人公が同時に現存する巧みな進め方。主人公の人の評価を気にしない考え方好きだなぁ。協調性には欠け生きづらいだろうけど、犬井やタカソウの25歳も知りたかったな。生き方を再考するきっかけとなりそうな1冊かな?もう少し、ナオコーラさんを読んでみようと思えた。2014/04/22
nemuro
53
その独特の感性から私の中では“感覚的に好きな作家リスト”に登録の作家。既読は1度目の函館時代の『手』(2010年6月読了)に始まり、2度目の函館時代、青い森鉄道線「八戸~青森」間の普通列車内で読了の『昼田とハッコウ』(2015年11月読了)までの7冊。『ローカル線で行こう!』(真保裕一)に続く“しりとり読書”94冊目としての本書。1978年生まれの著者、28歳頃の作品。14歳の「私」と25歳の「私」が絶妙に、交互に描かれている。変わらぬ潔癖さ。常に生きづらさはあるが悲観もしていない。鮮烈かつ魅力ある物語。2023/05/13
あんこ
53
わたしも25歳、会社の人と必要以上につるむことも、14歳のときに必要以上にベタベタするのが苦手だったから読んでいてびっくりした。今この時期に読んでよかった。決定的に何かが変わって楽になることなんてないのだろうけど、読み終わったら清々しい気分。しかしおしゃれな文章を書くんだなあ、ナオコーラさん。2016/09/25