内容説明
差別・被差別問題に関心を持つとき、必ず避けて通れない「異形」視された人たちに関する考察・研究をここにそろえる。貧民窟、サンカ、弾左衛門、乞食、別所、東光寺、俘囚、山哉『特殊部落の研究』…。四民平等で、かつて差別された人々は忘れ去られたが、近代の目はかれらを「異形の人」として、「再発見」するのである。
目次
異形にされた人たち―「四民平等」の逆説
山窩はなぜ興味をそそったか―近代史における「サンカ」の記憶
虚構としての山窩―鷹野弥三郎『山窩の生活』をめぐって
コトリとサンカ―なぜ今またサンカなのか
弾左衛門の読み方―たかが解放令一片か
新聞事始―朝野新聞連載「徳川制度」について
乞食への哀感―石角春之助『乞食裏譚』について
賎民史のインデックス―浩瀚『日本奴隷史』について
五百年前の東京―江戸城は「別所」の跡か
別所と東光寺の魅力―エミシの俘囚の配流地
起源論の水準―菊池山哉『特殊部落の研究』をめぐって
差別と天皇―農民の王から文化の玉へ
著者等紹介
塩見鮮一郎[シオミセンイチロウ]
1938年、岡山市生まれ。河出書房新社編集部を経て、作家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hit4papa
58
本書のいう異形とは、姿かたちを指しているのではありません。明治維新後の解放令によって、当時の知識人にあらためて認識された江戸時代の賤民階層のことです。本書は異形として発見され、忘れ去れていった人々についての論考を紐解き、著者の視点で解説を試みるものです。著者がアウトラインを述べそれにそって批評を加えていくので、門外漢であっても理解を阻害するこはないでしょう。通底するのは、近代社会のシステムが、異形を撲滅するための強引な手法をとったにもかかわらず、差別と被差別は今日においても存在していることです。2020/02/25
マッキー
21
論文の寄せ集めのような本。ほかの人も言う通り予備知識があったほうがもっと理解できるのではないかと感じた。一番興味深かったのは「コトリとサンカ」の章。今まで「エタ・ヒニン」という言葉は教科書で知っていたがコトリやサンカというものやその源流をこの本で新しく知ることができた。2017/02/15
fseigojp
20
昔、ショーケンが監督主演したセブリ物語というのがあったなあ2018/12/19
SAT(M)
16
嘗て存在したという山の放浪者であるサンカや、江戸時代の賤民の元締めの弾左衛門、大正期の浮浪者や、古くは蝦夷など、歴史上「異形」とされてきた人たちにかんしての論考をまとめた本。筆者の関心は「異形」そのものよりも、それを新聞・小説・論文等に書いた「書き手」の方にあるようで、書き手たちへの批評に力点が置かれています。人間社会においてはイメージや言葉や偏見が先行して実態から離れていくことが多々あるようで。冷静にイーブンに物を見ることができるようになるまでには、百年単位での時間が必要なのだろうか、と思った次第。 2020/04/20
魚京童!
12
なんなんだろうね。2014/11/18