内容説明
「拉致」問題を他にない視点から論じ、日朝関係を考えるための原点を示す画期的名著を改訂・増補。日朝の戦後を厳密に検証する中から、北朝鮮バッシングを扇動する「救う会」、事態の本質に向き合わない進歩派など様々な言説を鋭く批判しつつ、この問題を通してあらわになった戦後の欠落を問い、真の和解とは何かをさぐる。
目次
第1章 日朝戦後政治精神史―拉致問題に寄せて(二〇〇三年五月)(旧帝国と新帝国の亡霊たち;問題はどこにあるのか;誰を媒介者に問題を考えるか;帰国事業が孕む歴史的射程;民族・植民地問題への無自覚―日韓条約締結のころ;何を取り違えていたのか―左翼・進歩派の北朝鮮論;悪扇動を行なう者たちの群れ―ナショナリストの北朝鮮論;真の和解のために)
第2章 あふれ出る「日本人の物語」から離れて(二〇〇二年一〇月~二〇〇三年五月)(民族としての「朝鮮」が問題なのではない、「国家」の本質が顕わになったのだ;産経式報道の洪水と、社会運動圏の沈黙の根拠を読む;あふれ出る「日本人の物語」の陰で、誰が、どのように排除されてゆくのか;ふたたび「拉致」問題をめぐって;拉致被害者を「救う会」問題をめぐって;拉致被害者を「救う会」の悪扇動に抗する道は;「テロ」をめぐる断章;拉致問題をめぐりマスメディアが作り出す「空気」;「イラク危機」=「北朝鮮危機」に自縄自縛されないために:拉致被害者が語る言葉から考えたこと)
第3章 文庫版のための増補(明かされていく過去の「真実」―「T・K生」の証言を読む;『「拉致」異論』以後)
著者等紹介
太田昌国[オオタマサクニ]
1943年、北海道生まれ。ラテンアメリカの社会運動の研究・紹介、社会批評を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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加藤久和