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河出文庫
神州纐纈城

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  • サイズ 文庫判/ページ数 455p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309408750
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

武田信玄の寵臣土屋庄三郎は、夜桜見物の折、古代中国で人血で染めたという妖しい深紅の布、纐纈布に出遭う。その妖気に操られ、庄三郎は富士山麓の纐纈城を目指す。そこは奇面の城主が君臨する魔界、近づく者をあやかしの世界に誘い込む。“業”の正体に圧倒的な名文で迫る、伝奇ロマン不滅の金字塔。

著者等紹介

国枝史郎[クニエダシロウ]
1887年、長野県生まれ。早稲田大学英文科中退。劇作家として出発した。朝日新聞社の演劇記者、松竹座の座付作者を経て、小説に転じる。伝奇ロマン文学の第一人者となった。1943年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いたろう

45
三島由紀夫が絶賛した大正時代の幻想伝奇小説。時は戦国、信玄の治世の甲州、本栖湖の中にあって、人血で染めた紅巾を作る謎の「纐纈城」と業病に罹患し、触れる者の体をたちどころに腐らせる仮面の城主、宗教団体「富士教団」とその教主・光明優婆塞、富士の裾野に巣くう残忍無比の賊・陶器師、人穴で黙々と能面を彫り続ける美貌の女・月子、謙信の家臣にして剣の達人・塚原ト伝、そして、父を探す土屋庄三郎、庄三郎を探す従弟・甚太郎、等々。これらが絡んで、いよいよこれから話は佳境というところで、まさかの未完。続きが読みたい。残念。2015/06/15

yn1951jp

37
聞きしに勝る血みどろの奇譚絵草子「終わることができぬほど面白い伝奇小説」(半村良)秀峰富士の麓で、過去を背負った人間たちが繰り広げる曼荼羅は、桃源郷と吸血地獄。玉虫のように色を変える血染めの紅巾纐纈布が象徴するのは、愛と憎、善と悪、勇と怯、美と醜、相反するものが同じ人間の中に存在する罪深さ。意識を失った主人公が掟として独木船で死の湖水に棄てられ、地下水路をめぐり纐纈城へと至る旅は、澁澤が「ねむり姫」で描いた≪水想観≫を思わせる。「文藻のゆたかさ…幻想美の高さ…文章のみごとさ…その気稟の高さ」(三島由紀夫)2015/08/15

出世八五郎

23
和風ファンタジーと呼びたいけど肩書きは伝奇ロマンとかゴシックと呼ばれる本書。表現力が旨く情景描写も同様でゴシックな雰囲気に誘われる。古い読み方をさせる旧読み(?)だが慣れれば面白い。三島由紀夫や渋沢龍彦などが絶賛するが問題は風呂敷を大きく開けてしまい収拾されないこと、そして未完であること。それでもゴシックな雰囲気に埋没させてくれるだけで価値がある。永井豪バイオレンス・ジャックのスラムキングや人間犬のような人物が登場する。そして纐纈城主の火柱主はゴジラのように禍を甲府にもたらし去っていく。そこで終了惜しい。2015/03/30

michel

18
★4.7。驚嘆に尽きる読了感。国枝史郎さんは初読み。怪奇の秀作だ。”三島由紀夫絶賛”も納得の、妖艶の美文。講談師のような流れる美文律と、夢幻まやかしの情景描写。読者はどこかの異世界にさらわれる。文章だからこその表現できる”映像美”。そして、”未完の美”。2019/12/21

花乃雪音

16
国枝史郎著の未完(絶筆ではない)の伝奇小説、解説は三島由紀夫『小説について』の一節を抜粋していて三島は本書を絶賛している。武田信玄の家臣土屋庄三郎は人血で染めたという纐纈布に魅入られ、纐纈布を作っているという富士山麓にある纐纈城を目指す。小説を読むと石川賢のコミカライズ版はアクションシーンが多めだったことがよくわかる。纐纈城のビジュアルは分かりづらいが能面師月子の美しさの描写を読むと美の表現は映像より文章の方がより想像を駆り立ててくれることを再認識させてくれた。2019/10/21

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