内容説明
労働者として闘うあつよしがよりどころとしてきた組合は、もう労働者の味方ではなかった。あつよしは、あらためて故郷の大いなる川に向かう。人間の絆を問いながら、社会への鋭い批判をひそませたシリーズ完結編、『四万十川』文藝賞受賞二十年を記念してついに文庫化。書き下ろしエッセイ「四万十川から二十年」収録。
著者等紹介
笹山久三[ササヤマキュウゾウ]
1950年、高知県生まれ。高知県立中村高校西土佐分校卒。『四万十川あつよしの夏』で87年度文藝賞、89年度坪田賞を受賞。現在、郵便局勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kayak-gohan
1
壮年期を迎えた篤義がこれまで生きてきた道を故郷の風景の中に身を置きながら総括している。また、両親の死を通して自分を支えてきたものが何であったのかを悟っていく姿になにかしら安らぎを感じた。2012/12/04
detoo
0
大人になって落ち着いたあつよしくんの語り口に安心して読めました。葛藤も憎しみも読者が心を傷めるほどではなくなっている。良くも悪くも。書き下ろしエッセイで「郵便局かよ!四万十川じゃないじゃん!」とツッコんだけど、6巻の感想としては、彼を支えているのは父と母、そして心を流れる四万十川、とまとめたい。読んで良かった。2022/09/17