河出文庫
寺山修司・遊戯の人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 333p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309408040
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

内容説明

華々しく十八歳で歌壇に登場し、詩・小説・演劇・映画・エッセイと、あらゆる分野で活躍、劇団「天井棧敷」が海外で高く評価された寺山修司。かれはまた盗作疑惑やのぞき事件など、たえずスキャンダルを起こすトリックスターだった。デビュー時から身近に接した著者が、その虚と実を精緻に跡づけた傑作評伝。

目次

春一番の日
のぞき魔事件
かれが登場したとき
身体性あるいはその煉獄
逆説的な存在
江藤淳のことなど
三沢・疾走する野の馬
青森・雪の基督降誕劇
恐山・テラヤマの原点
仕掛けられた迷路
創作法または脱出の方法
AとBとの遊戯問答
龍女昇天
現実は復讐する
形代としての死

著者等紹介

杉山正樹[スギヤマセイジュ]
1933年、東京生まれ。「短歌研究」「文藝」編集長ののち朝日新聞社に入り、出版局編集委員、調査研究室主任研究員ほかを経て退社。「郡虎彦・その夢と生涯」で芸術選奨新人賞、『寺山修司・遊戯の人』で新田次郎賞、AICT演劇評論賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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夜間飛行

84
寺山修司は虚構に生きた人だという。《これが彼の創作の仕組みなのです。悲しい気持をそのまま告げても他人には通じないが、物語にしたらわかってもらえる》《言葉によってどんな現実でも凌駕できると信じていた》。そのせいか、本書は寺山を評するのに「寺山修司を修士論文のテーマに選んだ女学生への手紙」という形を取っている。こんな回りくどいやり方が寺山には必要だという、著者の配慮なのだろう。その上で、芸術性に関してはドライに欠点を指摘している。感傷に目を曇らせることなく、友人のことを語るのは難しかったに違いない。2019/03/14

koji

3
寺山に関する知識は限りなく少なかったのですが、この本はとても面白く読みました。寺山が、不幸な境遇を背景に「自己とは何か」を問い続け、大いなる虚構の世界を作り上げたこと、一方で「覗き事件」のように現実に復讐されること。著者が鋭く切り込んでいきました。前段の戦後の短歌界の動きも参考になりました。お薦めします。(以前、別のペンネームで書いたものをkojiに移しました。) 2010/09/08

フッセル

2
良い本だったなあ。書かれた人も、書いた人もこの世界にはもういなくて、ぽっかり青空に穴が空いてるように感じた。今までつかみどころを得られなかった寺山修司、なぜつかめなかったのかがとてもよくわかる良書だった。出会えて良かった。仙台の古本屋あらえみし、にて2020年秋購入。2020/12/28

ますりん

2
三沢の寺山修司記念館で購入。10代の頃から寺山修司を知る著者の手紙形式を取った回顧録。この本を読むと彼は本歌取りの達人であり、自分の人生すらアレンジして素材としてしまう、今ではもしかしたら普通かもしれない、でも当時はとても稀有な存在だったことがよくわかる。この二次創作華やかりし現代を見たら、なんというだろうか。してやったりとほくそ笑むのだろうか。 2015/08/24

はいから博士

2
小林信彦『虚栄の市』の登場人物のモデルとして興味がありました。短歌の才能は本物だと思います。コラージュを始めヒップ・ホップ的な感覚は早すぎたのかもしれません。60~80年代のサブカルチャー人脈の副読本としても面白い。2010/09/10

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