河出文庫
ちんちん電車

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  • サイズ 文庫判/ページ数 193p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309407890
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0165

内容説明

「私は、東京の乗物の中で、都電が一番好きである」。『てんやわんや』『自由学校』で知られる昭和のベストセラー作家が、失われゆく路面電車への愛惜を軽妙に綴っていく。車窓に流れる在りし日の東京、子どもの頃の記憶、旨いもの…。読み進んでいくうち、次第に時間がゆったり流れていく傑作エッセイ。

目次

なぜ都電が好きなのか
“ちんちん”の由来
品川というところ
泉岳寺―札の辻
芝浦
東京港―新橋
新橋―銀座
銀座―京橋
日本橋
続・日本橋〔ほか〕

著者等紹介

獅子文六[シシブンロク]
1893年、横浜生まれ。小説家、劇作家・演出家。フランスで演劇理論を学ぶ。ユーモアをたたえた作風で人気を博す。1969年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヨーイチ

48
執筆が1966で小生は10才で田舎の子供だった。作中でも出てくるが、かの悪名高き「日本橋の上に高速道路」を呆れ果てて概観している。この作品をレトロ物に括ってはいけない気がする。素人考えでも御一新、震災前後、東京大空襲、戦後の経済成長など東京は変貌し続けてきたことが分かる。最後の都電に乗り、駅(それとも停留所かな)毎に老作家が思いを述べるって週刊誌風の行き方はいかにも戦後って感じ。作者にとっては当たり前でも小生にとっては「新知識」ってのがかなりあって、そのギャップが面白い。2017/03/11

shizuka

35
昔の都電の面影を感じたくこちらの本を購入。各章の始まりは都電であっても、懐かしい停車場で降りては町を散策しているうち、話はいつしか食べ物を巡る昔話になってしまう。思い出と食べ物は切っても切れない仲のようだ。浅草近辺はだいぶ馴染みがあるらしく、とても細かく描写されていて、わたしも一緒に散歩している気分になれた。話がどうしても食べ物などの昔話になってしまうことに「題名がちんちん電車なのに昔話になってしまうこと、読者も諒されよ」と書かれていて、獅子さんのユーモアを感じた。諒すなんて!めいっぱい楽しみました!2015/12/01

ホークス

34
1966年刊。東京の路面電車(ちんちん電車)の沿線案内である。明治から敗戦後に至る街の大変化が語られる。著者は大の路面電車びいきで、明治の乗車心得に「ふともも出すべからず」とあった話まで出てくる。クールかつ暖かい筆致、衰退した諸々への愛情が本書のキモで、特に食べ物の老舗や風俗についての記述は歴史上の証言と言える。戦後の上野アメ横に貧民窟のイメージを抱く所なども興味深い。池波正太郎氏の30歳年長(内田百閒と同世代)で、明らかに影響はあると思う。二人のエッセイに旧い江戸の姿が垣間見える。2017/08/15

しーふぉ

22
エッセイじゃなくて随筆という感じ。昔の東京の街並みや風俗が知れて面白い。2021/06/01

あ げ こ

11
そのよさ。愛惜の念。思い出。大いに語る。これが大変面白い。一々面白い。アッケラカンと挟まれる不意の一撃に参る。思わず吹き出す。あまりにも鮮やかなバッサリ振り。皮肉、批判の意図を含むもの(時に嘆き)である事は間違いない。けれど決して不快にならぬのは、言葉も気持ちも湿気を帯びる事なく常にカラッとしているせいか。いいものはいい。イマイチなものはイマイチ。ただそれだけであって、そこに押し付けがましさがないせいか。大変好ましく、素直に笑う。振り返る思い出のほとんどが旨いものと旨いもの屋の事である辺りもまた獅子文六。2016/06/16

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