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河出文庫
上陸―田中小実昌初期短篇集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 238p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309407579
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

終戦直後、パリコミロクマ(呼び込み易者)をしていたころの日常を描いた「やくざアルバイト」、戦場での兵隊と上官との悲惨な関係「赤鬼がでてくる芝居」、労働争議の中の人間模様「その十日間のこと」等、同人誌時代の田中小実昌の多彩な創作活動を示す貴重な作品集。後のコミさんの作品世界はここに凝縮されていた。

著者等紹介

田中小実昌[タナカコミマサ]
1925年、東京都生まれ。東京大学文学部哲学科中退。軽演劇、将校クラブの雑役、香具師などの職を転々とした後、翻訳、文筆業へ進む。1979年、第81回直木賞と第15回谷崎賞を受賞。2005年、ロサンジェルスにて客死
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ウチ●

6
戦場で、戦争の傷まだ癒えぬ世の基地勤めで、ストのピケラインで無為に過ごし、田中小実昌の描く「俺」「あたし」は煩悶を繰り返す。最終的に救いの手は差し伸べられない・・・初期作品群の中には、漠然と将来に不安を感じさせる作風が多かった。が、しかし、所々に登場する女性の言動はあたかもソラリゼーションのように強烈な印象を残していった。このあたり、後の作品に通ずるところ大いにあり。2016/02/29

Mark.jr

2
一見まったりとしているように見えて、意外とセンシティブでメランコリックなのが、著者の持ち味なのかも。2021/05/21

Kinaaaase

0
「なにもおきてはいないのに、いやなにもおきてはならないのに、ただパッシヴにそれをまっているような気持。」p712017/04/29

久守洋

0
同人誌時代の初期作品を中心にまとめられた短編集。突出した作品は無いが、「赤鬼の出てくる芝居」や「生き腐れ」のアイデンティティをめぐる内面描写は面白い。作風にバリエーションがあるが、全ての作品に共通して覆っているのはアメリカの影である。2010/03/21

ちあき

0
いくつかの作品には三人称の生硬さがあって、いかにも初期作品らしい。やっぱりコミさんには「ぼく」の一人称が似あっている。逆にいえばそれ以外の要素(社会の片隅で生きている感覚、ダメ人間であることの自覚など)は後年の作品にも受けつがれているように思った。とくに「生き腐れ」には「ポロポロ」や「アメン父」のような宗教的視点もある。2009/08/21

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