内容説明
道元四十代の明晰で円熟した哲学。矛盾と煩悩にみちた日常に宇宙の真実を見る鋭敏な思想。
目次
七十五巻本 正法眼蔵(神通;阿羅漢;春秋;葛藤;嗣書;栢樹子;三界唯心;説心説性;諸法実相;仏道;密語;無情説法;仏教;法性;陀羅尼;洗面;面授;仏祖;梅花;洗浄;十方)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
8
前二巻に比べると、さくさく読み進めることができたというだけでなく、時折傍線を引いていたということもあってか、これまでになく内容が入ってきた感が。それでも理解の程は甚だ怪しい…というか、その十分の一も理解できていないのでは?という気さえする。それでも、巻末の解説にあるように、自分なりに楽しんで読むのもあり。ただ、そのためには更なる通読が必要とされそうだが。また、これまで闇雲に読み進めてきたが、今回一つ一つのタームについての理解が乏しいことを再認識。要注釈。また、終盤の所作については、その重要性を再認識。2020/06/26
roughfractus02
2
梅の花は、梅の花ではない。燕の声が宇宙の中心を教えるのである。こう言われて混乱する私は、何をしているのか? 存在を一つの対象に区切ってさらに距離を置いて知覚する人間の認識能力を、疑問にも思わないから混乱しているのである。著者は「梅花」で、釈迦が悟りを開いた時、雪の中で一枝咲いたと呟いたいう言葉を引いて、あなたは「未だかつて聞いたことのない語を聞く」という。梅と自己を分かつのは知だ。燕の鳴き声が、釈迦の説く宇宙秩序を伝えるという未聞の言葉に、知が働いで納得できない時、あなたは信用されず、立ち去るしかない。2017/02/16