内容説明
独立教会の牧師だった父親が開いていた祈祷会。そこではみんながポロポロという言葉にはならない祈りをさけんだり、つぶやいたりしていた―著者の宗教観の出発点を示す表題作「ポロポロ」の他、中国戦線で飢えや病気のため、仲間たちとともに死に直面した過酷な体験を、物語化を拒否する独自の視線で描いた連作。谷崎潤一郎賞受賞作。
著者等紹介
田中小実昌[タナカコミマサ]
1925年、東京・渋谷生まれ。東京大学文学部哲学科中退。軽演劇、バーテンダー、将校クラブの雑役、香具師などの職を転々とした後、翻訳、文筆業へ進む。1979年、第八一回直木賞と第一五回谷崎潤一郎賞を受賞。2000年、ロサンジェルスにて客死
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。