内容説明
戦後最大の詩人にして思想家・吉本隆明の現時点で最新の詩業。“「戦後詩」の夢の実現”と評され、詩人=思想家としての核心を示す思索の孤高なる結晶。
目次
気づき・概念・生命
筆記・凝視・病態
言語・食物・摂取
書物・倒像・不在
思い違い・二極化・逃避
言葉・曲率・自由
超概念・視線・像
思考・身体・死
力・流れ・線分
抽象・媒介・解体
考える・読む・現在する
噂する・触れる・左翼する
映像・現実・遊び
意味・像・運命
権力・極・層
指導・従属・不関
著者等紹介
吉本隆明[ヨシモトタカアキ]
1924年東京生まれ。1952年『固有時との対話』、1953年『転位のための十篇』を刊行。「荒地」詩人賞を受賞。その後『言語にとって美とはなにか』『共同幻想論』『心的現象論序説』『マス・イメージ論』などの著作によって戦後思想に決定的な影響を与えつづけている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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なつのおすすめあにめ
5
詩人にして思想家の吉本隆明による断片集。「いまでもわたしたちは、どこかにあり、どんなひとがそこにいて、どんなメカニズムで動いているかわからない架空の装置から命令され、指導され、その声のまにまによかれあしかれ従属している部分」があるという。夢の親子共演である吉本ばななの解説だと80年代の空気によりそっているとあるけど、スマホでSNSする我々に向かっている言葉かと錯覚するものもある。宮沢賢治に憧れている吉本隆明に対して、宮沢賢治になりそうでならない、という娘(吉本ばなな)からの指摘はなかなか手厳しい気もした。2022/10/02
bittersweet symphony
1
言語というひどく不自由な媒体でしか他者を含めた現実と切り結べないのがヒトという不幸な生物なわけだけれど、そういう基本的な事実にすら向き合わず無自覚に言葉を垂れ流すことに対してはきちんと留意する必要がある。2020/10/18
ダイキ
1
図書館。「〔概念〕はそこに封じこまれた生命の理念としては最高度な段階にあるはずなのに、どうして生きいきしていない抽象や、鮮やかでない形象の干物みたいにしか感じられないのか。これにたいする解答のひとつは、はじめにあげたように、書くという行為とその結果のもたらしたデカダンスが、感受性の全体を摩耗させてしまったということだ。あえてしかつめらしい言い方をすれば、自然としての生命と、理念としての生命の差異をひろげてしまったのだ。その意味では最初の原因は、文字の誕生のときすでにあった。」2017/06/04
ナカユ〜、
0
デッサンをするときに対象を見たままに写生するのは難しいけど、上手い下手は関係なくその人の対象物に対する見方が問題で、それが言葉の像という文章の輪郭が鮮明だったりあやふやだったりする事で絵画でいう所のパースだったり空間だったりを作り上げているんだなと思った。2012/05/22
ピラックマ
0
これはいい本、深い深い詩。散弾でも弾丸でもなくあらゆる領域に粘菌のごとくジリジリ伸びていく思考の触手。2011/08/10