内容説明
たった一人だけ園芸学校に落ちたのは何故だったのだろう?人は生まれ変わるのだろうか?生涯の様々なできごと、つげ義春らとの出会い、霊魂のことなど…さりげなさの中に誰にも書けない不思議な問いをひそませた、マンガと同じくらいに深くて魅力的な水木しげるの文章の世界。50年にわたって雑誌などに書かれたエッセイを集成した待望の一冊。
目次
落第記
戦争と糞
病める魂―太宰治のこと
わが心のニューブリテン島
楽園学入門―わたしの仕事と生活
猫の道
つげ義春氏との出遇い
奇妙な味
鈴木翁二くん
池上青年のこと
辰巳ヨシヒロと僕〔ほか〕
著者等紹介
水木しげる[ミズキシゲル]
1922年、鳥取県境港市生まれ。43年、応召、ラバウルで左腕を失い、46年、復員。紙芝居作家などをへて、65年「テレビくん」で第六回講談社漫画部門賞を受賞。以降、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」などで人気マンガ家に。03年、境港市に「水木しげる記念館」が開館。マンガのみならず文章のファンも多い
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感想・レビュー
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Shoji
35
戦争で大変なご苦労をなさった作者によるエッセイです。戦地での経験が通底しています。その意味では、たいへん考えさせられる内容にもなっていますが、決して暗くも辛くもなく、ざっくばらんとしています。著者は猫のように、奔放に気ままに生きるのを身上としたい由です。読者側の私も、心が楽になる感じがしました。本書から引用すると、幽霊は怨みから出て来る怖ろしいもので、復讐を目的としています。一方、妖怪は、もとからそこにある自然のもので、大して目的もなければ何でもない。ただ奇妙な愛嬌があるそうだ。妖怪になるのもいいな。2022/08/20
トムトム
25
物欲だけでなく、全ての欲を捨てれば心は平和。恋人?いてもいなくてもよい。結婚?してもしなくてもよい。子供?いてもいなくてもよい。今この瞬間が楽しければそれでよいという日々をおくれば、そのうち妖怪や精霊に会えるような気がします。水木さんのようになりたい、という欲すら捨てねば!私はまだまだ煩悩だらけです。2020/11/22
せっちゃん
15
感性が凄いです。昭和を思い出す1冊。2021/11/17
ほしけも
9
あの性格だから壮絶な状況でも生き延びたのか、壮絶な生き方をしたせいでなにもかもを悟ってしまったのか…戦争体験ももちろん恐ろしいが紙芝居、漫画の世界も餓死と隣合わせというから恐ろしい。そういう世界に住む人間たちも妖怪じみている。。死線をみているからこそ「あっちがわ」を感じることができるんですね。太宰治が嫌いだという話は痛快でした。2014/05/15
バカ殿。
7
本書で先生がおっしゃる通り、人間といったって特別な存在ではなく、死んでいくのは植物や動物とあまり変わらないもんなんだ、そこまで達観できなくても、最近は、あまりこだわらず、なるべく楽に生きようと考える今日この頃、先生の言葉にはいつも癒される。2016/02/07