河出文庫
アウトブリード

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  • サイズ 文庫判/ページ数 269p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309406930
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0193

内容説明

小説とは何か?生と死とは何か?世界とは何か?論理ではなく、直観で切りひらく清新な思考の軌跡。真摯な問いかけによって、アーティスト、ミュージシャンら若い表現者の圧倒的な支持を集めた、読者に勇気を与えるエッセイ集。

目次

『愛』
やっぱり猫のこと、そして犬のこと
重層の時間
人間の肯定
羽生→理数→小説
言語化の領域
“様態”のこと
現代文学のベクトル
混乱や飛躍
「よく知っていない何か」〔ほか〕

著者等紹介

保坂和志[ホサカカズシ]
1956年生まれ。90年「プレーンソング」でデビュー、『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、「この人の閾(いき)」で芥川賞、「季節の記憶」で谷崎賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

23
小説は言うまでもなく言葉から成り立つ。これは、世界を認識するためには五感が必要であるのと同じ。いわば自明の理というやつだが、人はそれを忘れる。そこでスラスラと小説を書いてしまう。保坂はそこでつっかえて、わざわざ「世界」とはなにか、認識とはなにかと言い出す。不器用な作家だが、そんな不器用な作家だからこそ見える景色と書けるものがある。そんなに構えて読む必要はない。ぶっ飛んだ作家が書いたぶっ飛んだ散文、と捉えればいいと思う。藤沢周とはまた違った意味でウィトゲンシュタインを経由して世界をクリアに捉えた作家の闘争録2020/07/05

きょちょ

23
エッセイとあるが、これは保坂の哲学であり小説観だ。 特に彼の小説へのスタンスははっきり読み取れる。 哲学の部分もなるほどと感心するところもある。 ただ、同じ雑誌に定期的に書かれたものではないので、書評があったり映画の感想があったり、さらには自身の作品のあとがきがあったりで、一貫性が無く読みづらいのが難点。 ★ 2017/01/16

ぽち

13
哲学や映像作品を援用しつつ、小説=人間に言及する短めの論考集。読みながら色々なことを考えていた(色々なことを考えながら読んでいた(色々な思考が読みながら流入していた))のだけどそのうちの一つはこの前に読んでいた小林秀雄「考えるヒント」は読後の感想が何も無かった事でそれは読みながら何も考える事がなかったということなのだ私が、単純に相性ということもあったのかもしれないけどそれでは思考停止だ、小林秀雄の作がどうこうでなく保坂さんはずうっと考え続けていて、断定するような文言でもそれはやっぱり考え続けているから、2021/07/24

borug

4
こういういろいろ寄せて集めた感じの本は好き。村上春樹の『雑文集』もそうだし。猫のこと犬のことの文章がかっこいい。2015/05/16

熊野ミツオ

3
保坂和志が90年代の後半に書いた雑文を集めた本。興味深い話が多かった。はじめて保坂和志の本を読んだときは、その新しいおもしろさに感動したのを覚えている。人間が五感でかんじる実感と、たとえば、科学による世界の実像は異なっている。人間は自分のかんじてる実感の外に出て、物事を思考するほうが正しい、というようなことが書いてあったような気がする。難しい話が多いので、間違っているかもしれない。哲学者の樫村晴香との友情がかんじられて、それもよかった。保坂和志の小説がより楽しく読めそうだとおもった。2020/05/19

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