河出文庫<br> うつろ舟―渋沢龍彦コレクション

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河出文庫
うつろ舟―渋沢龍彦コレクション

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  • サイズ 文庫判/ページ数 233p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784309406626
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0195

内容説明

常陸の国はらどまりの浜に流れついたガラス張りの“うつろ舟”。そのなかには、金髪碧眼の若い女人が、一個の筥とともに閉じ込められていた。そして繰りひろげられる少年との夢幻的な交歓―古典に題材をとりながらもそれを自由自在に組み換え、さらに美しくも妖しい一つの“球体幻想”として結晶させた表題作のほか、珠玉の八編。渋沢龍彦、晩年の代表作。

著者等紹介

渋沢龍彦[シブサワタツヒコ]
1928年東京に生まれる。本名龍雄。東大仏文科卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介するかたわら、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表。晩年は小説に独自の世界を拓いて、広く読まれた。1987年没
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

202
8つの物語からなる短篇小説集。澁澤龍彦の著作には、プリニウスやパラケルススなどの西洋古典が縦横無尽に引用されるのが常だが、今回は主として江戸期の書物を底本に、換骨奪胎の妙をいとも鮮やかに見せてくれる。最初は江戸文人趣味を匂わせ、その後は綺譚の数々で読者を目眩く世界に誘う。けっして通俗に堕すことなく、しかも仄かな艶っぽさも随所に漂う。そして、あくまでも高踏的な語りに徹して、品位を失うことがない。翻案の妙味を尽くすあたりは、『雨月物語』の世界を髣髴とさせる。澁澤龍彦にしか書けない、まさに得難い物語群だ。2014/11/23

buchipanda3

108
古典の説話集のような読み味の奇譚集。こういうのは好み。さらりと軽妙な語り口に惹き込まれ、気が付けば虚実の入り混じった奇異な物語を読み耽っていた。ひと時代もふた時代も前の俗世間を舞台に、ふいと現れる面妖な出来事。願いを叶える護法仏像、菊麻呂の人間燈台、繍帳の哀しき天平美人、うつろ舟の首の鞠投げ、そして何と高尚な小水かっ。それも時空を超える曰く付き。どれも場面が目の前に浮かぶような描写で呆然と見入った。読み終えるとはたと酔いから醒め、現実との境界をふらつく面持ちに。これがオイフォリーか。またこの世界観を望む。2020/01/16

青蓮

97
「護法」「魚鱗記」「花妖記」「髑髏盃」「菊燭台」「髪切り」「うつろ舟」「ダイダロス」幻想譚8編収録。古典怪異をベースにした、とても澁澤さんらしい、大人向けのお伽噺。作品のタイトルからして、妖しさが匂い立つよう。読んでいて夢現を彷徨うような心地よさがあります。物語の展開を予想できない面白さもあって、とても楽しめました。2016/12/15

mocha

80
各地の伝奇を基にした幻想短編集。エロ・グロ・ナンセンスも著者の手にかかれば一場の夢ように妖しく美しい。あれはどうなったの?結局誰だったの?と読後も腑に落ちないことだらけだったりするが、それもまた夢の如し。『魚鱗記』『ダイダロス』が印象に残った。2019/08/04

YM

67
あー、澁澤最高だあ。オイフォリーだよー。むかし話みたいな語り口も現実離れしてていいわあ。みんなちゃんと変態なとこもさすがだなあ。ちょっと怖くて、生々しくエロティックな夢をみて、あーもっかい見たいと思って目を閉じるけど、もう見れない…。すごいリアルな感覚が残ってる気がして、ちょっとうっとり。。忘れた頃にもっかい読むかな。でもしばらく頭から離れん。2014/12/10

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