内容説明
あてどない日常をさまようように生きる全共闘世代の二人の男と二人の女―危ういバランスにゆれる四角関係のゆくえの中に、時と魂のふるえを実験的にうつし出す、八十年代のひそかな名作が、話題の映画化とともによみがえる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
竹園和明
41
燦めく青春の躍動感がまるでない中年男女の物語。舞台は70年代。友人夫婦(良介と綾)が仕事で海外へ行っている間、留守番を兼ねて家に住み編集関係の仕事を依頼された良介の友人善彦。綾は善彦の元恋人だ。ある日その綾の友人麗子が家を訪ねて来る。実は麗子は良介の元恋人…という恐ろしい設定😲。良介夫婦の策略と知ってて接近する善彦と麗子、そこに絡む独り帰国した綾。全共闘くずれの男女は四者四様の理由を抱え、澱んだ日々の中で鬱屈した想いをぶつけ合う。退廃的空気の中、腐敗寸前の恋愛は妖しい蜜を湛え撓わに実る果実のようだった。2022/10/01