河出文庫<br> 螺子式少年(レプリカ・キット)

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河出文庫
螺子式少年(レプリカ・キット)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 181p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309404479
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

行方不明の野茨を探して、百合彦と葡萄丸は「仔犬座サーカス団」を訪ねた。そこには野茨そっくりの少年はいたが…。近未来世界を舞台に、“ほんとうの存在とは何か”を求めてくり広げられる、傑作サスペンス・ファンタジー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

122
長野さんはずっと気になる作家だったが、読むのはこれが初めてだった。きれいな文章で、個性的な幻想世界を紡ぎ出していると思う。野茨、百合彦、葡萄丸といった古風な言葉遣いも良い。ただ、このくそったれな現実な世界に、対抗できる幻想世界を作り出したいと言う気迫は感じられない気がした。小奇麗にまとまっている箱庭的な世界で、迫力にやや欠けている。それでもレプリカと本物の境目がはっきりしなくなるところは、フィリップ・K・ディックばりで面白い。ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るのか』の影響が感じた。2016/07/03

優希

100
面白かったです。本当のものとは何かをめぐる物語ですが、サスペンスのような色合いが見えます。野茨、葡萄丸、百合彦の少年たちが見る「レプリカ」の世界。本人の意識をもコピーできるレプリカ・キットとは何かを考えてしまいました。レプリカだらけのサーカス団を想像すると鳥肌が立ちます。レプリカが作られる目的は何なのでしょう。本物かレプリカかが分からなくなっていく世界。でも結果的に人間でもレプリカでも拘らず、傍らに居て欲しい人が本物なのかもしれません。2016/01/19

相田うえお

80
★★☆☆☆22063【螺子式少年(長野 まゆみさん)k】これから先、どんどんロボット技術が進歩して『あなたとそっくりなロボット作れます。思考も人間同様ですよ。自分のレプリカ特注ロボット絶賛発売中!』などとなったら、どうなるんでしょう? 映画や小説では大概、誰かの複製のくせに自分が本物だと思い込んだりしちゃうんですよ(笑) そうなると周りの人ですら気がつかず混乱〜みたいなね。今のロボットだってAI機能や動作,顔の表情など、ビックリ仰天する奴らがいますからねぇ。ま、本作品、そんな感じのモチーフでした。2022/07/07

mii22.

55
男の子3人の登場人物と言えば『野ばら』を思い出す。こちらは近未来?SLファンタジーだから雰囲気はちょっと違うけれど、モヤモヤとした意識を混乱させられる読み心地も似ている。そして宇宙空間へ人間が自由に行き来できる設定なのに小道具はラヂオだったり模型だったりするところがやはりノスタルジックな気持ちにさせる長野ワールドそのものだ。本物そっくりの人間のレプリカなんて何の理由で作られるのか。本物とは何か、何を持って本物というのか想像力をはたらかせても私には怖さしか感じられない。2022/05/08

小夜風

37
【所蔵】長野まゆみさんのこういう少年ものはもう読み尽くしちゃったかなと思っていたので、まだ読んでいなかった中にこんな素敵な本があって嬉しくなりました。初期の長野さんが大好きだったので、読みこぼしていたことが信じられません(笑)。母親が、自分の息子が自分の思い通りに育ってくれなかったからと、息子のレプリカを作って溺愛するも、レプリカも母親を嫌いとか、もう救われないわ。誰がレプリカで誰がオリジナルなのか判らなくなるホラーのような話だけど、最後にはそんなことはどうでもよくなるくらい、この世界に浸っていました。2017/05/18

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