内容説明
伝馬町の出火による囚人の切放しを機に、蛮社の獄で捕らえられた天才蘭学者高野長英は逃亡をくわだてた。顔を硝酸で焼き、執拗な逃亡の意志と強烈な生命力でもって繰り返される彼の遍歴のあとに残された、逃亡に巻き込まれた人々の死屍累々の地獄絵を描く表題作ほか、全五編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
林 一歩
21
下世話で馬鹿馬鹿しくて大笑いしながら読了。風太郎、侮り難し。2013/05/19
星落秋風五丈原
20
ああ、やっぱ山風氏って映画好きなんだ。あれだけ『地の果ての獄』で映画パロディやってたから、そうかなぁと思ってたけど。でも、この作品でジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『舞踏会の手帖』を引き合いに出す?いや、そりゃあ、粗筋は、重なりますよ。でも、中身の印象ってまるで違うでしょーが。映画ではマリーベル演じる裕福な未亡人が、手帳に書いてある所縁の人を訪ね歩く。舞踏会で踊った人は、皆随分な変わりよう。「昔を今になすよしもがな」と、鶴岡八幡宮の静御前よろしく舞いたくなる。映画はノスタルジー溢れるけどこの話は恐い。2003/10/07
タツ フカガワ
3
幕末期の妖しい人物5人が主役の短編集。読み始めてあれ? と思ったのは、作者お馴染みの忍法帖シリーズとも明治物とも、探偵物ともちょっと違う語り口です。それだけにとても新鮮に読みました。なにしろ全5編が粒選りの内容で、なかでも表題作は軽妙なタイトルですが、幕末の傑物高野長英の後半生を、愛・憎・情こもごも絡めて描いた物語。山田風太郎の奥深さを再認識した一冊となりました。 2017/08/23
ベック
1
長英それぐらいにしとけ!
陸
0
幕末を舞台とした短編集。何となく後味悪く読了。2014/08/24