内容説明
春とともに少年あつよしにおとずれる、淡くにがい愛と性のめざめを、四万十川の大自然と、そこで苦悶する人々との交わりの中に柔らかに描き出し、より力強く人間のきずなへとせまる、『四万十川』シリーズ、待望の第3部。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
押さない
4
読む手を止めて思わず目を閉じて世界を味わいたくなる自然描写力はさすが。 反比例して「田舎集落の人間関係」負の面が同時に折り重なる。 前作は学校家庭中心の篤義の大人や社会への反抗が、勤め人ではない一人山の暮らしで生活しようとする大人のテッちゃんの登場で特に浮き彫りになった。2022/09/05
kayak-gohan
2
中学生になった篤義と山で暮らすテッちゃんとの交流を軸に、異性として意識し始めた月子との関係が描かれている。土と生きることが果たせなかったテッちゃんの挫折に高度成長経済のひずみを見た気がした。2012/10/28
ぺーいち
2
中学生になり、思春期の訪れに戸惑う少年アツ。昔ながらの素朴な営みは経済の波に飲み込まれ、次第に地すべりを起こす戦後の村社会。なんだか息苦しい。2010/09/19
obst
0
計算した人生、変わり行く時代。それがさらに濃くなった現代に語りかける作品2012/10/25