内容説明
母は羊が二歳のときに死んだ。そして、小学校二年生になった羊の前に“新しいおかあさん”が出現する。作者みずからの生い立たちを素材に、血の繋がりのない母と子を、〈ほんとうの母と子〉に昇華させた芥川賞作家の感動の処女作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆこ
2
センター過去問で興味を持ち読んだ。少年と継母の話で、奥さんが疎開先から戻ってみると旦那が別の家庭作ってて10歳前後の子供が2人。子供を本家で引き取る場面から始まります。人間関係が深く書かれており、文章も巧みで日本語に対する満足感がありました。 ただ内容が珍味すぎたので無理な方は無理かと。私も再読するにはもう少し経験を重ねないと無理かな…。読後、【何をされても生みの親より育ての親】という言葉が…。そして問題を再度解いてみたらまったく正解に辿りつけなかった爆笑。作品は全体を読んでこそ完成すると身にしみた。
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1
しんどいお話しだったけどかなり好きだった。母親の狂気が笙野頼子『母の発達』を思わせるけれど、あれはフィクション性が強いのに対してあまりも現実的すぎて感情移入してしまった。感傷的になっているときの羊の心情が詩人みたいになるのも好き2021/08/03