内容説明
『一握の砂』をかかえて、青春は北へ旅立った。苦汁にみちた炭鉱での少年期、そして上京後の挫折を記憶に甦らせながら…。石川啄木の軌跡に現代の青春を重ね、透明な詩情と緊密な思索が交響する青春文学の不滅の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チェアー
8
面白いかと聞かれれば、いいやと答える。自意識が前面に出た小説で、読んでいるうちに嫌になる人も多いと思う。それはきっと青春時代を後から眺めれば嫌になる、というたぐいの嫌悪感じゃないかなと思う。啄木を抱いて北に帰る。北に帰った瞬間、東京に戻る。ただそれだけの物語。だけどそういうのが小説でしょ、という作者の主張も感じる。外岡秀俊の作品でなければ読んでいなかったと思う。2020/04/19
