出版社内容情報
生れて、すみません――三十九歳で、みずから世を去った太宰治が、悔恨と希望、恍惚と不安の淵から、人生の断面を切りとった、煌く言葉のかずかず。テーマ別に編成された、太宰文学のエッセンス!
内容説明
生れて、すみません―。39歳でみずから世を去った太宰治が、悔恨と希望、恍惚と不安の淵から、人生の断面を切りとった、煌く言葉の数々。愛と死、生い立ちの記、世間というもの、男と女のこと、文学と生活について等々、人間と人生への心にしみる痛切な祈りを全著作・書簡から抜粋しテーマ別に編成。没後40年、いまなお圧倒的共感を受け読みつがれる、太宰文学のエッセンス。
目次
わが半生を語る
生きること、愛すること
「芸術」について
「人間」というもの
津軽通信
如是我聞
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobody
15
欲があるからごまかそうとし、生活が難しくややこしくなる。ごまかし切れなくて失敗する。無欲と正直。「気弱い内省の窮極からでなければ、真に荘厳な光明は発し得ない」「私たちは、この『自信の無さ』を大事にしたいと思います。卑屈の克服からでは無しに、卑屈の素直な肯定の中から前例の無い見事な花が咲く」。故に文化の本質は含羞(はにかみ)であり、文化にはハニカミというルビを振る。その敵、サロンの神の淵源は家庭のエゴイズムである。これがまあ太宰の哲学である。ところがそれだと文化は弱く敗けるもの、“曳かれものの小唄”となる。2017/12/11
mstr_kk
3
再読。太宰治の名言集+「津軽通信」「如是我聞」です。いい編集だと思います。2016/03/02
北川
2
好きだ。太宰治はどうしてこうも人の心にえぐりこんでくるのだろうか。言葉のみならず、描写や生き方そのもの。考えさせられることが多い。心にくる文章に出逢うと、ぞくっとする。2011/12/27
わたし
1
読みやすいところをパラパラと読んだだけなのに、心にくる言葉が多かった。2016/04/09
JUN
1
終盤までは、それまでの太宰治さんの作品や、語録からテーマ毎に抽出したセンテンスが羅列してある。最後にはいくつかの短編からなる「津軽通信」で、これは2回の罹災があった後、長男を頼って金木町に舞い戻った時の話で、面白く読めた。また最後の「如是我聞」は色々な作家に対する反駁で、特に志賀直哉さんに対しては、実名でめちゃくちゃに罵倒していた。彼の話を鵜呑みにすると、先輩である志賀直哉さんが色々な場所で、太宰さんの作品などについて酷評した事に関して、反論している感じ。2012/08/21