河出文庫<br> 小説坂口安吾

河出文庫
小説坂口安吾

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  • サイズ 文庫判/ページ数 298p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309400952
  • NDC分類 913.6

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

カブトムシ

24
坂口安吾という名前は、私にとって、ずいぶん古くからなじみの深いものだった。昭和7、8年ころ、東洋大学の学生を主とした「文科」という同人雑誌があって、私の中学時代の友人がその一員だった関係から毎号寄贈を受けたが、その同人のなかに坂口安吾という名前があった。流行作家になってからは、走るような、あるいは飛ぶようなスピードの文章に変った。書かれていることの内容も変った。その理由も私の興味の対象になった。(「あとがき」より)敗戦の焼跡を文学の修羅として疾駆した「堕落論」「白痴」の作家の怒涛の生涯を描く長編評伝小説。2020/12/19

カブトムシ

12
小説は「木枯の酒倉から」「風博士」「黒谷村」の三篇である。ところが、このうち「風博士」を牧野信一が激賞し、「黒谷村」を島崎藤村と宇野浩二がほめた。藤村と浩二は当時文壇の大家で、牧野信一は売り出しの新人である。この三人に続けざまにほめられるということは、ふつうでは考えられないことである。安吾はたちまち文壇で注目され、「文藝春秋」から原稿の依頼が来た。ついこの間まで、同人雑誌というものがあることも知らなかった男が、突然新進作家として脚光を浴びることになった。この時安吾は26歳、昭和6年のことであった。p48。

安藤スミス

2
奇人だと思っていたが、やっぱりそうだった。でも思ったよりもまともな坂口安吾のドキュメンタリー。でも人生をまとめるだけで小説になるほどの濃い生き方は俺にもできるだろうか。事実は小説より奇なり。2016/11/14

MIRACLE

1
作家・坂口安吾の評伝。税金闘争・競輪事件の経緯について詳しい(坂口は税務署との想定問答まで用意していた。全集で読める)。坂口の晩年は精神が不安定で、行動が異常だった。ところが、作品はいたって正気を保っていた。現実の狂気と作品の正気の同居が、特徴といえる。彼はまた、話し言葉の「です」「でした」、助詞の「さ」「よ」を用い、独自の調子を編み出した(いわゆる安吾調。217頁)。坂口の晩年は筆が荒れ、念入りで精緻な作品が生まれなかった、と杉森はいう(284頁)。だが、女子供の読み物に回帰した、ともいえる(55頁)。2013/02/15

1
Y-202004/09/19

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