出版社内容情報
ルクレチア・ボルジア、エリザベト・バートリなど、史上名高い悪女たちの魔性にみいられた悪虐非道の生涯を物語りながら、女の本性、悪の本質を浮き彫りにするベストセラーエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
308
ルクレツィア・ボルジア(表紙絵)のことを考えていたら本書をふと思い出して再読。洋の東西から集められた史上に名高い悪女たちが順不同に12人。とはいっても、東洋からは則天武后ただ一人。初出誌は不明だが、澁澤一流の衒学趣味が全く顔を出さないことからすれば、一般向けの読み物として書かれたようだ。現代なら企画そのものにクレームが付きかねない。もっとも、悪女とじゃいうものの、むしろ歴史と体制とに翻弄された哀れな女性たちともいえるのであり(言えない人もいるが)、彼女たちの数奇な一生を反芻するよすがとしたい。 2024/05/17
匠
144
かなり前に読んだきりだったので再読。澁澤氏が悪女と認定した女性達はやっぱり残酷非道極まりない方々が多い(笑)その残酷さは激しい孤独感や疎外感、人間不信や嫉妬、美しかったからこそ自分の老いを受け入れられない哀しみなど、心の底には憎しみよりも哀しみ、寂しさのほうが強くあったのではないかと思う。この本の中で挙げられた中では、やはりエリザベートの狂気が一番恐ろしい。どこかで螺子が吹き飛んでエスカレートしていったのだろうけれど、澁澤氏はゾクゾクしながらそんな彼女達の悪事を楽しそうに語っていた。そこがまた興味深い。 2014/05/11
優希
68
古今東西の悪女が勢揃いしています。魔性の命ずるままに行った行為は正に悪徳ですね。愛欲、欲望、殺人、破壊を繰り返す様子に残虐さを感じます。日本でも淀殿や日野富子のような悪女はいますが、スケールが違います。本当の悪女を見た気がします。 悪女とは何かを問う、非常に興味深い本でした。2014/12/02
ほりん
49
いったんスイッチが入ってしまうと(切れてしまうと?)、人間(女?)はどこまでも残虐になってしまうことがあるらしい。その非情さたるや、言葉を失う。歴史上の有名人ばかりだが、どの人物もその姿がありありと目に見えるよう。豊富な知識に裏打ちされた赤裸々な描写に、圧倒されながら読んだ。エリザベス女王とメアリ・スチュアートが印象的だった。2016/04/04
鱒子
37
再読。歴史上の悪女にスポットを当てた本。12人の女性が紹介されています。全ての話にロマンチックな色香があります。私は一時期、澁澤龍彦にハマっていました。大分昔の事ですけれど。この本は、そのきっかけとなった本で、今でも大好きです。以前出版された時の表紙は、セピアっぽい色でした。そちらの方が妖しい感じがして好きです。2017/02/23