感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
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著者の第一創作集ということで、ある程度後の作品を予感させる要素はあるものの、全体的な印象はかなり違っている。特に表題作「謝肉祭」は個人的には安部公房の『壁』を思わせるシュールな作風。まさにあの作品に出てくる壁の中で泣いている男の子そのまんまというイメージを抱いてしまった。ただ、最後の「踊る大女」には他の作品にはない「再生」というテーマが色濃く出ているのが印象的。著者解説によると、この大女のイメージは、作家岡本かの子によるものだとのこと。でも結局、後の作風に一番近い冒頭の「レクイエム」が一番しっくりきた。2012/10/31