出版社内容情報
日本映画における録音技師の第一人者が撮影現場で聴いた音の数々から監督やスターたちの個性溢れる姿を描く。もう一つの日本映画史。
内容説明
黒澤明、今村昌平、石原裕次郎や高倉健…名優や名監督に信頼され続け、現場を支えた“音の職人”が伝えたい映画人の群像。
目次
第1章 大映京都撮影所から 音にこだわる映画人生が始まった
第2章 日活時代 今村昌平、石原裕次郎との出会い
第3章 録音技師デビュー 依頼が殺到 その仕事ぶりが注目を浴びる
第4章 大作映画に次々と参加 録音技師として引っ張りだこに
第5章 日活を離れてフリーに 高倉健、黒澤明との仕事
第6章 尊敬する黒澤明監督 盟友・今村昌平との別れ…
著者等紹介
紅谷愃一[ベニタニケンイチ]
1931年京都市生まれ。大映京都撮影所、日活撮影所を経て、1980年からフリーとなる。主に今村昌平監督作品を手掛け、「黒部の太陽」「楢山節考」「南極物語」などで多くの録音賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
71
録音技師・紅谷愃一氏が自らの映画人生を語る聞き書き本である。「紅谷愃一」という一本の映画を観ているような素晴らしい内容だった。映画にとって、音が重要であることは分かっていたが、ここまでこだわり抜き作り上げられていたものとは理解が足りなかった。日本映画史に残る数多くの傑作の現場に携わり、その現場の緊張感や高揚感を伝えてくれる。初めて知るエピソードも多い。今村昌平、黒澤明等の監督たちや、石原裕次郎、高倉健等の俳優たちとの心の交流は、感慨深い。ここで語られた名作たちをもう一度耳をすませて観てみたくなる。2022/05/20
hitotak
7
数々の名作映画で録音を担当した紅谷氏の撮影現場での思い出が詳細に語られる。今村昌平や黒澤明をはじめ様々な監督やスタッフ、俳優達とのエピソードも非常に率直で興味深く、撮影現場の活気、緊張感、裏方の苦労が余すところなく書かれていて、300ページ超の大著だが内容の面白さで一気に読んだ。音声という仕事の詳細も語られているが、俳優のセリフや音楽の入りなど受け持ち範囲も広く、これほど重要で大変な仕事とは知らなかった。映画作りは大掛かりでお金が要り、沢山の人が関わっていることを改めて感じた。2023/01/08
猫またぎ
4
映画の裏方さんたちの話は好きだ。2023/05/23
よちゆし
1
300ページを超える厚い本だった。脚注の欄があったので、文字で埋め尽くされているわけでは無かったが、頑張らないと読み終えられないと思った。特に映画好きというわけでは無いが、興味深く最後まで読めた。映画作りのスケールの大きさに驚いた。録音技師の仕事も、ある音を調節するだけではなく、台詞にも注文を付けたりして、想像以上に映画にとって重要だと分かった。役者さんたちについてのコメントも興味深かった。2022/08/11
TTK
0
制作部の人間が常にヒロポンを持ち歩いていて、ちょっとでも居眠りしそうなスタッフを見かけると、腕を掴んでヒロポンを注射するんです。まだ合法でしたからね。……僕も二度ばかり打たれましたよ(笑) p.13 一つのやり方に凝り固まっていてはいけない。今村さんも、映画の作り方は一つじゃない、いろいろなことができるんだといつも言っていましたから。今村さん自身、ロケーションでの同時録音が一般的じゃない時代から苦労して同時録音をやていたし p.3152023/03/28