出版社内容情報
小津の晩年の作品の意味とは。従軍体験と盟友山中貞雄との関係を軸に。画面や発言などから読み解く。『キネマ旬報』連載完結。
内容説明
従軍体験と夭折の映画監督・山中貞雄、この二つの影を背負って小津は戦後を生きた。作品と発言、日記、証言から、その晩年の実像を追う。好評の『キネマ旬報』連載完結。
目次
人生のラスト・ムービー
秋刀魚の歌が聞える
山中貞雄を想う
変な家の女
幽明の加東大介
葉鶏頭をキャメラの方へ
ひとりぼっちのメロディ
キリンからムジナへ
回復へのキャッチボール
終った人、はじまる。〔ほか〕
著者等紹介
尾形敏朗[オガタトシロウ]
1955年、愛媛県大洲市に生れる。早稲田大学教育学部卒業後、博報堂入社。主にCMプランナーとして勤務のかたわら映画評論活動。定年退職後はフリー。著書に『巨人と少年―黒澤明の女性たち』(文藝春秋、第19回キネマ旬報読者賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yuichiro Nakatsuka
1
従軍と山中貞雄の死が、晩年の小津安二郎とその作品に如何なる影響をもたらしたか。膨大な資料を基に綿密に分析し推察された論評が、知的好奇心を大いに刺激する。除隊帰還後、描く父親像が〈喜八〉から〈周吉〉に変化し、さらに禁欲的な笠智衆、享楽的な佐分利信・中村鴈治郎という”陰陽”に分化する。それは戦場で得た〈肯定的精神〉の賜物だったのか。山中貞雄が存命だったらどんな作品をものにしたか。多くの想いが頭に浮かぶ。本書は、映画の副次的楽しさを存分に教えてくれる。今後小津作品を観るごとに、ページをめくることになるだろう。2022/01/03
たっちゃん
0
原節子の魅力をうまく語っている。 紀子3部作の解説は、絶品。2022/10/26