出版社内容情報
少女モーディーが、バレエ修行の後、時代を象徴するバレリーナとなるまでを描く傑作。バレエマニア・ゴーリーによる光と闇の物語。
内容説明
意味あるものは芸術だけだ―バレエ好きで有名なゴーリー。彼にとって20作目の本書こそ、初めてバレエを題材に描いた作品。日本語版刊行20年、著者没後20年という節目の2020年に哀悼の意を込めて、本書を読者へ贈る。
著者等紹介
ゴーリー,エドワード[ゴーリー,エドワード] [Gorey,Edward]
1925年、シカゴ生まれ。2000年没。独特の韻を踏んだ文章と独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表した
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京生まれ。アメリカ文学研究者。2005年、『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞受賞。ほかの著書に『生半可な學者』(講談社エッセイ賞受賞)などがある。2010年、ピンチョン『メイスン&ディクスン』(上・下、新潮社)で日本翻訳文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
243
表紙とタイトルに魅かれて読みました。エドワード・ゴーリー 、初読です。日本語版刊行20年&著者没後20年記念、独特の世界観、光と闇のバレリーナ成長物語、完全大人絵本でした。 https://www.bunkamura.co.jp/bookshop/topics/4097.html2020/11/17
旅するランナー
220
ゴーリーの20作目を、日本語版刊行20年、著者没後20年である2020年に発刊する、柴田元幸さんと河出書房出版社に二重で感謝します。ゴーリーが愛するバレエを題材に、実在のバレリーナに捧げられてます。全体的に陰鬱としながらも、そこかしこに可笑しみがあり、ゴーリーファンには満足できる、しっとりと心に残る一作です。コロナ禍による緊迫の巣籠もりが続く冬の夜に、哀愁を感じながら読んで頂きたいです。2020/12/13
buchipanda3
117
今度のはバレリーナのお話。短いながらも"ある一生"とも言える物語で、偶然や運などが人生を左右することがあり、華やかな事もあれば、その影には地道な部分もあると思わせる。特に"Her life"の語りで始まるページは、表の舞台からはあまり想像されない一面が描かれ、それでいてとてもリアルな情感が残った。読後に改めてポスターみたいな洒落っ気のある表紙(原作本では衣装が金色)を眺めると、ラストと相まって、人生のある一瞬を閉じ込めたかのような気がして、その余韻に浸った。2020/11/14
keroppi
86
【エドワード・ゴーリー誕生日読書会’24】5歳で見出された少女が、やがて時代を代表するバレリーナになる。そんな華やかな話とは裏腹に全体に暗いトーンと死の影。侘しい生活。意味あるものは芸術だけ。バレエが大好きだったというゴーリーのバレエストーリーは、バレエの芸術性と深さを描いているようだ。2024/02/05
annzuhime
85
バレエを愛したゴーリーの作品。いつものおぞましさは感じないが、何処となく漂う不穏な空気。華やかな舞台に立ちながらも、日常は単調。その光と影の姿が哀れで儚い。鳥の死骸に魅せられていたあの少女にとって、悲劇で最高の結末。ゴーリーのバレエへの愛がひしひしと伝わる作品でした。2021/02/13