出版社内容情報
最後の数寄屋大工・中村外二を始め、左官、表具師、錺師、畳師、簾師、石工、庭師に聴く、京の職人技の世界。待望の復刊。
内容説明
京都に生きる技をみがく匠の世界。職人の感覚と仕事と心を知ることは、同時に日本人の美意識のありようを探ることでもあった。失われつつある日本の生きた文化を求めて。名著復刊。
目次
1 最後の数寄屋大工といわれて―中村外二(数寄屋大工)
2 京壁と向き合う―森川邦男(左官)
3 障子、襖、屏風のはなし―伏原佳造(表具師)
4 錺金具にあらわれる日本人の意匠感覚―森本安之助(錺師)
5 畳はすっきり綺麗に見えるように―〓室節生(畳師)
6 簾は京都にふさわしい点景や―平田佳男(簾師)
7 北白川で灯籠と蹲踞をつくる―西村金造(石工)
8 庭造りに大切な京都の光―明貫厚(庭師)
著者等紹介
笠井一子[カサイカズコ]
1945年、広島県生まれ。幼少期を大阪で過ごしたのち、十歳で上京。フリーランスのライターとして、道具(ヒトとモノとの関係性)、職人(料理や建築にたずさわる職人の仕事の流儀)、そして食文化・生活文化の分野を中心に執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いっせい
65
一万円選書で選んでいただいた一冊。数寄屋大工に、表具師、餝師、石工、畳師、庭師、簾師・・ 京都の八人の職人の仕事ぶりが、著者のインタビューに答える形で、語られる。京都弁の話し口調と業界用語に苦労したが、その道の達人の仕事へのこだわりと、長年の経験と技、研ぎ澄まされた感性は、圧巻だった。2023/03/13
hnzwd
23
もう、全部完璧。八人の職人のインタビューをそのまま?描いてるんですが、職人さんの言葉がそのままでして。 全員、自分の過去作を、ハズい!!色々変だし、直すに直せないし。。って思ってるっぽいのよね。 仮に納得いかないとして、自分の建てた家を、燃やしたい、って言えるのかね。。2022/07/27
ちぃ
22
去年いわた書店一万円選書で選んでもらった本。選んでもらった本もこれで読み切り。なんでこれを選んでくれたのかな?と考えてみてもわからなかったけれど、合理でなくてこだわりを持った職人さんたちの仕事との向き合い方、日本の伝統建築、工芸の凄みを感じた。京都の言葉も関東人には非日常装置に感じられます。面白いというか新鮮な一冊でした。2022/01/17
エドバーグ
8
職人さんは体で覚える、経験で覚えたことが文化として継承される、これにつきるようでした。30年くらい前に工場勤務でしたが、湿気、温度や原材料の状態によって微妙に機械調整できる人間が限定されていたのを思い出し、相通じるものがあるようです。しかし工業製品は文化とは言えない。対比して論じてもらうと面白いのでは と思いました。2023/11/15
氷菓子
4
京都の、いわゆる職人と言われる人々のインタビュー。皆に共通しているのは機械や人工のものに頼らずに、自然の素材を用いて長年培った感性に従っているところ。彼らの持つ技術を知ると、日本人は自然と調和して生きてきた伝統があることが分かるが、もはやそれらは継承されずに失われつつあるという事も痛感させられた。2022/06/15