出版社内容情報
震災による津波で母を失った写真家が、震災直後から撮り続けてきた故郷・陸前高田の写真を集大成。カラー71点とエッセイを収録。
【著者紹介】
1958年陸前高田市生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。1997年木村伊兵衛賞受賞。著書に『Underground』(メディアファクトリー)、『話す写真』(小学館)など。
著者等紹介
畠山直哉[ハタケヤマナオヤ]
1958年岩手県陸前高田市生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。1997年木村伊兵衛写真賞受賞。2001年毎日芸術賞受賞。国内外で多くの展覧会が開催され、2011年には大規模な個展「Natural Stories」展(東京都写真美術館)が話題を呼び、同年の芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
103
震災で大きな被害を被った陸前高田市。2011年から2014年震災直後の様子、瓦礫が片付けられる様子が載っていた。神戸の震災から2ケ月経ったとき仕事で訪れたときの衝撃は忘れない、テレビや本で見たり聞いたりとは大違い。現場に圧倒された。陸前高田だけでなく被災した地域はどこも同じくらいひどいと思う。復興という掛け声だけで実際はまだまだ復興などしていないはずだ。改めて報道から得られる情報だけでわかったつもりではいけないと感じた。図書館本2021/04/02
きつねこ
37
図書館新刊本コーナーで、思わず座り込んでのめりこむ。キャプチャーなし、日付のみの写真。花や光、空が救い。表紙裏と裏づけの同じ山の写真。20040724と20110404。2015/06/06
けんとまん1007
17
写真のみで、綴られる。だからこそ、伝わる部分も大きい。見る人に委ねる部分もありながら、著者の視点もじんわりとくる。出身地を長い時間をかけて撮りつづけるエネルギーが凄い。そして、最後の巻末の文を読むと、その意味あいが、また一段と深くなる。2015/06/28
今夜は眠れない
9
2011.9に見た風景はいまだに忘れられない。新国立競技場の予算を全額投入して欲しいくらい・・・お金出せばいいという問題ではないのだけれど。切ない。2015/07/10
とんこつ
7
写実的な写真、という表現をしなくてはならないことにテクノロジーの進歩が生んだパラドックス(本書でも語られている車のもたらしたパラドックスにも通じるかもしれない)を感じてしまうが、陸前高田出身の著者が、震災後の故郷へと向ける眼差しには、あらゆる脚色をそぎ落とした透明さが宿っているのを感じる。そこにはもちろん喪失感や悲しさといった感情も含まれているのだが、震災を通したことによる、著者の時間や歴史、そして生命そのものへの真摯な眼差しが、その根底にあるように感じた。2019/12/10