出版社内容情報
カフカ、ドストエフスキー、漱石、ポーの名作小説を、各16ページで奇跡のコミック化! 柴田元幸、椹木野衣、柴崎友香氏絶賛!
【著者紹介】
1975年生まれ。水、墨、爪楊枝、割り箸など、特異な技法で漫画を描く注目の新鋭。「森のマリー」にて商業漫画誌デビュー。著作に「夜のほどろ」「祈りと署名」「夜よる傍に」「耳は忘れない」がある。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
37
カフカ「城」といえば超・長編で未完。巻末の解説を読むと、むしろそれで正解と思える。まとまりを付けて終わらせることを目的に書いたわけじゃない。ダ・ヴィンチとモナリザの関係性みたいに、生涯の友として少しずつ手を加えて行くつもりだったのかも。ただ、作品の本質を直観する力に秀でた著者がわずか16ページのマンガに要約し、なおかつ違和感ゼロなのはやはり見事だ。あと「こころ」はガチで解釈が変わってきそう。先生が失いたくなかったのは御嬢さんなのか、それとも。ポー「盗まれた手紙」はいま読むと森博嗣のミステリィが後継者かも。2022/12/07
shio
35
すごい世界を覗き込んだ!カフカの「城」漱石「こころ」ポー「盗まれた手紙」ドストエフスキー「鰐」、それぞれをたった16ページの漫画におさめているのだけれど、ページの隙間が異空間に繋がっているかのような奥行き。既読は「こころ」と「手紙」。「先生と私」の部分は読み飛ばししてたなぁ。躑躅の場面が震える!「手紙」はトリックを主眼に読んでいたけど、こんなに妖艶になるとは…!最後のシーンの余韻、深すぎる。「鰐」は原作を読んでみたくなった!鰐に飲まれながら消化を拒否してそこから世界を動かそうとする男。風刺的で興味深い!2023/07/26
kasim
29
かすれたような独特の線で描かれ、マンガというよりグラフィック・ノヴェル。静けさに満ちた感じで四編ともよいけれど、こちらを読むために別の本で今回はじめて原作を読んだドストエフスキーの「鰐」が特に気に入った。現代日本に話を移してある。こんな変な話も書いてるんだ。「盗まれた手紙」はロマンティックに演出されているのが意外で面白い。2018/12/20
Y2K☮
26
森泉岳士。モリイズミタケヒト。この名前は覚えておいた方がいい。掌編の幅でカフカ「城」や漱石「こころ」の骨格を描き得る作家などそうはいない。「こころ」のその解釈はなくはないけどまさかという固定観念があった。決して奇抜ではない。ポーの「盗まれた手紙」ってそういう話だっけ? 忘れてた。ドストエフスキー「鰐」は初読。円城塔「つじつま」と少し重なる。巻末の解説も素晴らしい。「城」の未完はたとえば漱石の「明暗」におけるそれとは趣が異なると感じていた。未完という名の完成形。太宰の「グッドバイ」はどちらだろう。興味深い。2018/11/25
うえはる
5
迫力が!特に見開きのぐわっと感がすごかったです、美しい!2015/04/23