内容説明
大作曲家マーラーは、その生涯の圧倒的な時間、オペラとコンサートの指揮者であった。先達との軋轢、ライバルとの確執、後進との緊迫、興行師との悶着、そして自己との闘い…。ヨーロッパ楽壇の頂点を極めた偉大な指揮者の実際を丁寧に追う、初めての本格クロニクル。
目次
第1章 青年の挫折と野心
第2章 権謀術数
第3章 若き権力者
第4章 首相と国王―あるいは首席楽長と興行師
第5章 頂点へ
第6章 政権
第7章 上からの革命
第8章 新大陸
第9章 新しい王国
第10章 未完
著者等紹介
中川右介[ナカガワユウスケ]
1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒。カメラ雑誌編集長等を経て、現在「クラシックジャーナル」編集長。出版社「アルファベータ」代表取締役。海外の出版社と共同・提携し、20世紀に偉大な足跡を残した芸術家や文学者の評伝の翻訳を出版する傍ら、自らもクラシック関係の著書を執筆。歌謡界や歌舞伎界にも精通する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐藤治彦
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淡々と事実を書いた文章から浮かび上がるマーラーの人生と苦悩。マーラーの食い扶持である指揮者活動からその人生を俯瞰した。2015/11/22
どくたあ
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中川右介氏の著書はそれとなく刷り込まれていたマーラー印象を、時間軸に沿った形で事実を著述し、マーラーが精力的に最後まで活躍し、前向きに生きていたかを伝えている。「マーラーに限らず、人間というものは、日々の仕事でも、家族や友人、恋人との関係でも、さまざまな些細な出来事が起きる。その積み重ねが人生である。天才音楽家といえども、二十四時間の全てを音楽に没入できるわけではない。この際限のない日常の雑務をこなしながら、なおも創作できた者が、歴史に名を刻むのである」この文章にとても共感した。2012/08/09
pintarou
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著者がいっているように、日常を淡々と記録しているようでちょっと退屈。記述も、虚実ないまぜになっていないか。2012/08/09
mdsch23
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作曲家として知られるグスタフ・マーラーの指揮者としての側面に焦点を当てた伝記。指揮者としてデビューするまでの話と、現代に数多く残されている定期演奏会やテーマ別演奏会形式の確立、優秀な「副官」であるワルターとの交遊の話が興味深い一作。2012/05/27
光太郎
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オモロ2022/12/22