内容説明
安い契約金・年俸、多くを期待されず、待遇だけでなく機会にもめぐまれないプロ野球のスタート地点。そこから自らの可能性だけに賭け、生き抜くための自分だけの武器を見いだし、磨いて、一流の粋に達した選手たちがいる。徹底取材による、矜恃あふれる十一人の物語。
目次
1番 島田誠―世界の福本を震撼させた“サイクル盗塁”
2番 平野謙―西武黄金期を支えた“犠打新記録”
3番 石井琢朗―ドラフト外初の“二千本安打”
4番 長嶋清幸―めっぽう勝負強い“小さな強打者”
5番 基満男―走・攻・守・センスの“1試合4二塁打”
6番 上川誠二―トレードを乗り越えた、いぶし銀の“ミートの天才”
7番 松本哲也―新人王をもぎとった“育成の星”
8番 野口寿浩―陰で光った“俊足の名捕手”
9番 大野豊―先発も抑えも超一流“二枚腰の左腕”
10番 清川栄治―438試合連続救援登板の“リリーフ完全試合”
11番 加藤初―新人王、ノーヒットノーラン達成の“鉄仮面”
著者等紹介
澤宮優[サワミヤユウ]
1964年、熊本県生まれ。ノンフィクション作家。青山学院大学文学部卒業、早稲田大学第二文学部卒業。陰で懸命に生きる人物をモチーフに、スポーツから文学、歴史まで幅広い分野で執筆。2003年1月に刊行された『巨人軍最強の捕手』で、第14回ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山田太郎
20
江夏いい人だ。長嶋と基がよかった。知ってる選手ばっかりなので大変楽しめました。2011/12/07
ようはん
16
割と渋い面子というかドラフト外入団だったのかと思った選手がちらほら。現在における育成選手の立場に近いが育成選手以上にドラフト外とドラフト上位の選手の待遇面は天と地の差があり、指名拒否が多かった昔の事情もあって数合わせとか球拾いやバッティング投手的な便利な雑用役的側面があったのも窺わせる。そんな中で己れの才能と不屈の精神で一流選手に這い上がっていった男達の物語は熱い。2021/05/11
Humbaba
11
プロの舞台に立てたとしても、チャンスが平等に巡ってくる保証はない。特にドラフト外というそれほど期待されていない立場の人間は、ほとんどチャンスが回ってこないことを覚悟しなければいけない。そのような少ないチャンスをも温位したからこそ、順風満帆に進んできたものにはない心の強さがある。2013/10/13
ぼっこれあんにゃ
10
◎ドラフト外という、エリートとは程遠く、プロ野球界に駆け込み乗車をしたような選手達が、誰にも真似のできないような記録を残して行く爽快な実話。特に広島の大野投手と、ヤクルト古田の控えだった野口捕手の話が良かった。登場する選手たちは一様に一軍に上がる事を夢に見て、二軍で並々ならぬ努力を重ねるが、いざ一軍に上がると一軍に居るのは当たり前のように次の目標を掲げ向かって行く。夢や目標が進化している。夢を叶える事が大切なのはもちろんだが、その夢が進化して行くのはもっと大切なように感じた。2013/12/09
YOS1968
7
ドラフト外入団(独りは育成枠入団)から一流選手まで上り詰めた11人のノンフィクション。基、野口、清川の物語は面白かった。入団当初はまったく期待されないところから努力と創意工夫で成長していく姿は格好いいのである。2011/11/22