内容説明
貴重なカラーイラスト50ページ掲載。少女期の多感な感性から紡ぎだされた幻の作品群が今ここに甦る。全28作品、珠玉の童話集。
著者等紹介
萩尾望都[ハギオモト]
1949年、福岡県生まれ。1972年より連載が始まった『ポーの一族』は、少女漫画界の歴史を変える作品として現在も語り継がれる名作。以後、SFやファンタジーなどを巧みに取り入れた壮大な作風で唯一無二の世界観を表現。あらゆる方面から圧倒的なリスペクトを受けている。『ポーの一族』『11人いる!』で第21回小学館漫画賞(1976年)『残酷な神が支配する』で第1回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞(1997年)など受賞歴多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
99
萩尾望都の世界の素晴らしさを堪能できる本。前半はカラーのイラストに散文詩が添えられている。後半は教育紙に掲載された童話集。萩尾さんの小説は初めて読んだが、漫画と同じ繊細なタッチで、物語性が豊かだった。このストーリーテーリングの巧さが長編の漫画にも生かされているのだろう。前半のイラストは溜息が出るほど美しかった。繊細で華麗で、描かれている人物達の心のふるえまでも伝わってくる作品だと思う。「水色のエプロンの女の子」は少し雰囲気が異なっていて、ユーモラスな物語。結末でくすりと笑った。2018/09/01
Vakira
49
ちくま文庫の現代マンガ選集「少女たちの覚醒」で数十年ぶりに萩尾望都さんに出会う。空想科学少年だった頃にSFを描ける少女漫画家として竹宮恵子さん萩尾望都さんが話題だった。「11人いる」なんかしりあがり寿さんがパロディを描いていて大笑いした思い出。最近萩尾望都さんの本を目にする機会が多くなった様に感じます。その理由は良く判りませんが、懐かしくなりこの本を手に取る。漫画ではありませんでした。前半はカラーイラスト&詩。後半は短編集。萩尾望都さん短編もいけます。ファンタジー。良いです。他の作品も読みだな。2021/07/25
Y2K☮
26
衝動買い。改めて著者の本は贅沢だなと思う。悩ましい絵と吸い込まれる詩とかすかに毒の混じった物語。そしてSF的な寓話要素からあの頃へ遡るほろ苦さまで、ジャンルも時間軸も幅広い。それらの全てが極上でしかも一冊で堪能できるのだ。後半は児童文学であると同時に、子供を教える立場の大人へ向けた声が込められている。特に「アフリカの草原」と「賞子の作文」だ。真に警戒すべきは全くの善意から生じる悪の歪み。絵本や児童文学は大人こそ読むべきと何度も書いてきたが、萩尾望都は私が生まれる前からそれに気づき、実践していた。脱帽です。2018/12/23
よこたん
25
萩尾さんの懐かしい、美しいイラストに感動。「ポーの一族」「トーマの心臓」「11人いる!」など学生時代に夢中になっていた頃の、イラストに詩、童話などが収められていて、昭和にふと戻ったような感覚にふうわりと包まれた。文章も漫画と同様に、氷のような透明感と、はかなさと危うさ、どこかにちくりと刺さる棘があり、うっすらとしたかなしみを含んでいる。物語の中には決して入れず、ただただ息をつめて、そっとドアの隙間から見守っているような気持ちだった。2016/02/28
ブルームーン
25
前半は美しい絵とポエム。後半はショートショート。ちょっとだけ毒のきいた話もふくまれていてなかなかよかった。2015/01/17