出版社内容情報
ベストセラー『愛しのチロ』でも知られる、アラーキーの愛猫チロ。22年をともに生きたチロの死を看取り=見撮り、チロへの深い愛を、切ないまでに焼きつけた、感動の写真集!
著者等紹介
荒木経惟[アラキノブヨシ]
1940年、東京生まれ。千葉大学工学部卒業。第一回太陽賞受賞。オーストリアより科学・芸術勲章を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
96
村山由佳さんの帯に惹かれて読んでしまった。アラーキーの写真は苦手なのに、最後まで本を閉じることができなかった…。卑怯だ。卑怯だよ。途中で最後に何が撮られているのがわかっているにも関わらず、続きを追ってしまう。そんな読者の心理をわかっていて撮っているようにすら思えてしまった。愛猫のチロの晩年の様子をひたすらドキュメンタリーのように撮った写真集。これを見て、恐ろしいと思ったのは…。写真家というものは、どんな状況でもファインダーを覗いた世界ではしか表現ができないということだった。ある意味不器用なのかもしれない。2017/03/05
ちえ
41
お父さんが帰ってくるのを毎日待っていたんだね、チロ。潤んだ瞳。文字は殆どはない。チロの写真の間に仕事で撮っただろう写真。どんな時にも生きていかなくちゃならない…と突きつけられたように感じ言葉に詰まる。挟まるヨーコさんが撮っただろうチロと写真家の写真、ヨーコさんの写真も。主が居ない爬虫類がいっぱいのベランダ…10年を隔ててその日の写真家自身の写真二枚。そして続く空、空、空…。愛する者を亡くした写真家の心のうちをそのまま写し取ったよう、圧倒され、今感じている気持ちを表す言葉がない。2021/04/09
澤水月
40
目の光。尖った背骨。猫を飼うものならば分かる…迫る「その時」。愛しのチロから20年の2010年までまさか…全うしたと今知りすぐ見る。刺さりすぎて涙も…毒々しい花は明らかに性器、美しさより生々しさの女性裸体とともに虹の橋を渡りつつあるチロと強烈に対比する。無関係ではなく、花、女体の形や破れポスターまでチロの体位に対応…「その日」は日付なし。恐らく最後に目を合わせた日付はありチロは天才Aのモデルと愛人を全うしたのだ(陽子さんの時もあった空描写、一月後の物はチロで覆われている)。そして妻より先の姿まで!(続2015/08/14
keroppi
34
愛猫チロへの愛と別れの哀しみ。2009年12月5日から2010年5月5月までの映画のようなドキュメント。写真集で泣けるなんて。2017/09/03
Gummo
29
22年間共に生きた愛猫の最期の3カ月の姿を撮影した写真集。嗚呼、これはアカンやつや。あまりに痛々しくて悲しすぎる。生気溢れる写真との対比がいっそう涙を誘う。チロが亡くなった後に続く空の写真。アラーキー氏が陽子夫人の亡くなった後にも空の写真ばかり撮っていたことを思い出す。愛する者を失った氏の悲しみはいかばかりであったろうか。切ない。2013/11/17