出版社内容情報
ひとりきりで住む男の屋敷の庭に、突然、知らないうちに芽吹いた不思議なつぼみ。しかしつぼみはいっこうに開かず硬いまま。男はどうにかして花開かせようとするのだが……。
内容説明
たいそう古びた石の屋敷に、ひとり住む男。広い庭は草花で埋め尽くされ満ち足りていた男だが、不思議なことに、つぼみのまま咲かない花に気がついた。そこで男は突拍子もないことを思いつく―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
72
繊細な描画による清浄な空気感と、ユーモラスに表現された物体や生物の存在感が与える印象は唯一無二のものだ。しかしそのストーリーはといえば言葉数が無駄に多く感じさせて凡庸としか言えない。唯、ここには作者の大切なものが描き出されている…それだけは間違いなく感じとることが出来る。2016/05/23
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
59
古びた石の屋敷に独り住む男。庭は草花で埋め尽くされていた。植物の世話で男は満ち足りていたが、蕾のまま咲かない花がある。懸命に花を咲かせようとしてもダメ。諦めかけた男はある夜、驚くべき光景を目の当たりにする――。絵本ですが、短篇一本ほどの読み物です。幻想的な物語も魅力ですが、絵が圧倒的。本作は2作目ですが、大学の卒業制作がそのままデビュー作になり、ヨーロッパの4つの代表的な絵本の賞に輝いた本物の天才です。HBのシャーペン1本で描かれる超精細画を再現するため、出版社は特殊な印刷技術を駆使しているそうです。2014/07/22
Rosemary*
50
リッブルストーン氏の庭に珍しい植物が芽生えた。精魂込めて育てぐんぐん成長し巨大なつぼみがついたが…何日たっても固いままで開かない。それから氏はあらゆることを試みますが(これが面白い)。とうとう疲れきってしまい開かない運命なのだろうと諦めかけた時、満月に誘われて外に出ると…とっても素敵で幻想的な美しい本。2015/03/01
小夜風
22
【図書館】「まっくら、奇妙にしずか」と同じくシャーペン一本で描かれた絵が本当にキレイです。お話も幻想的で、私には漱石の「夢十夜」を思い出させました。絵だけを見ていると、この絵一枚で他にもたくさんお話が作れそうだな~って思います。ストーリーに関係ない図説も見ていて楽しかった♪2014/10/30
リリィ
20
シャーペン一本で描きあげたという、緻密で幻想的なモノクロ絵本。突如現れた不思議な植物を見つけた家主は、なんとか花開かせようと日々試行錯誤を繰り返しますが…微妙な陰影や点描を、シャーペン一本で完成させたとはとても思えない。ストーリーよりも、圧倒的な画力を堪能する絵本だと思います。2014/07/31