内容説明
揺れる1930年代、昭和戦前の記憶。下谷、浅草、上野、京橋、荒川、麹町、日本橋…東京・下町を歩き、時代をフィルムに焼き付けた伝説の写真家・桑原甲子雄の記念碑的作品の数々。
目次
下町幻影
娯楽の殿堂
水辺の風景
戦争の足音
過ぎ去りし日々
路地のその先
モダン東京
著者等紹介
桑原甲子雄[クワバラキネオ]
1913年(大正2)東京市下谷区車坂(現・台東区東上野3丁目)生まれ。写真家。東京市立第二中学校(現・東京都立上野高校)を卒業後、家業に従事する。1931年(昭和6)頃より、隣人の濱谷雅夫・浩兄弟の影響もあり、写真に興味をもつ。中古のコダック・ベスト判単玉カメラを手に入れ、写真を撮り始める。1934年頃より上野や浅草周辺を撮影し、写真雑誌の月例コンテストにたびたび応募する。中古のライカC型を入手、引き伸ばしプリントの制作も始める。1935年、この頃より写真雑誌に次々と入選するようになる。1948年(昭和23)より1974年(昭和49)まで、『カメラ』『サンケイカメラ』『カメラ芸術』『季刊写真映像』『写真批評』各誌の編集長を務める。1975年に日本写真協会年度賞、1991年(平成3)に日本写真協会功労賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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Koki Miyachi
3
1930年代の東京下町風景。まだ二十代だった筆者が、ライカC型で撮りまくったスナップ。この頃の東京はやけにカッコ良く、ちょっと眩しい。戦争に突入する少し前の古きよき時代が鮮明に写し出されている。2013/03/31
いづむ
2
最近なんだか気が散ってなかなか本が読めません…この本も写真集。1930年はまだ産まれてないけれど、とても郷愁を感じます。泥臭い面もあり、同時に街ゆく人たちが意外なほどオシャレだったり、どの写真にも見入ってしまいます。地元台東区は、「今もこんなだよ!」なんて場所もちらほら。素敵。(図書館本)2014/06/20
ももこ
0
この時まではまだ明治、大正と時代が受け継がれているような気がする。道行く人々の和装や電柱に貼られた広告のプロパガンダ、時間の流れ方...敗戦し、GHQがやってきてから様子が全く変わってしまい、便利な反面、めまぐるしく、ストレスフルな時代になった。2016/12/02
hose1239
0
高層建築がなく、空が広がる1930年代の上野や浅草の風景が面白い。地下鉄の上野駅の写真には「速い、涼しい地下鉄」の張り紙が。2012/03/29