内容説明
ゴーリーのすべてのエッセンスがつまった素晴らしいデビュー作。
著者等紹介
ゴーリー,エドワード[ゴーリー,エドワード][Gorey,Edward]
1925年、シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章と、独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表している。またエドワード・リアやサミュエル・ベケットらの作品の挿画、劇場の舞台美術なども手がけた。幻想的な作風とアナグラムを用いた(Ogdred Wearyなど)ペン・ネームを使い分けて、たくさんの私家版を出版したために、多くの熱狂的コレクターを生みだした。2000年4月15日、心臓発作のため死去。享年75歳
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京生まれ。アメリカ文学研究者。東京大学文学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
95
エドワード・ゴーリー氏の記念すべきデビュー作。高名な小説家が苦悶しながら新作『弦のないハープ』を書いていくストーリー。処女作でいきなり創作の舞台裏を題材に選ぶというのは大物感たっぷりですが、ゴーリーの作品の中ではオーソドックスな作りだと思いました。毒のあるユーモアに言葉遊びと、随所に〈らしさ〉があるけれど、文章は多めで、起承転結もあります。その点では〈普通〉ぽいです。ここから削ぎ落として独特のスタイルを確立していったのかなと想像します。2015/03/19
keroppi
80
文字が多いので、「エドワード・ゴーリー展」では読めなかったデビュー作。図書館で借りて読んだ。作家の苦悩が綴られる。デビューにして、物作りは苦しいものだと思っていたんだなぁ。2019/11/16
aquamarine
68
ゴーリーの処女作だそうです。後の韻を踏んだリズム感のあるセンテンスに慣れてしまっていたのでしっかりとした文章(といってもいろいろな名前などウイットに富んでいますが)が隙間なく続くのにちょっと驚きました。でも作家が話を作り出す苦悩の時間がじわじわと伝わってきて読み応えのあるものでした。壁紙まで細かい線でじっくりと書きこむイラストは処女作から健在です。読後イラストを何度も見返し新しい発見も楽しみました。得体のしれない生き物「ファントッド」も!イアブラス氏、あれ、苛立たしく思っただけじゃなくて買ったのね。2016/02/17
Vakira
66
この絵本は1953年にかかれたゴーリーの処女作。キャラクターデザインはほぼ完成されているし、やはり大人向け。他との違いは文字が多いことかな。小説家が物語を生みだす苦悩をブラックユーモアで描く。驚いたのは処女作にしてあの紙切れ発見。本屋のウィンドの話のところ。ファントッドって竜の子供?なかなかかわいい。「まったき動物園」に出て来るかと期待して読み返したらいなかった。残念。2015/04/13
ひらちゃん
65
知らずに読んだけどデビュー作だったのか。成程まだ文字数も多く、毒々しさというよりは、作家イアブラス氏の憂鬱が占める。だが、後の片鱗が見え、雰囲気はもうその世界観に包まれている。うーん人間臭くて面白い。2019/02/03