内容説明
すべて単行本未収録映画評論。「シネマの煽動装置」の刊行後も、連載はまだまだこんなに続いていた!映画狂人が「同時代的な風俗」と戯れることなく、映画の「現在」に触れる最新映画評論集。
目次
1 その後のシネマの煽動装置(ヒッチコックやホークスやエリック・ロメールを撲滅すべき最大の敵だと断言できる時代はいつくるのだろうか;近く創刊される映画の雑誌『リュミエール』の編集長から、宣伝をかねた読者へのお願い ほか)
2 映画総論(『カイエ・デュ・シネマ』の休刊と新たな傾斜―映画における批評=言語行為の可能性を摸索して;映画は人を殺す―「大作主義」のウラで ほか)
3 洋画(ロブ=グリエの新作映画;影の薄さの感動―『最前線物語』サミュエル・フラー監督 ほか)
4 日本映画(鈴木清順監督『東京流れ者』;不謹慎な鉄砲玉、中島貞夫 ほか)
著者等紹介
蓮実重彦[ハスミシゲヒコ]
1936年東京生まれ。映画評論・表象文化論・フランス文学者。前東京大学総長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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踊る猫
28
句点を極端に省き、その分読点の打ち方を凝ることで独自のリズムを生む「ハスミ節」。むろんそれ故にリズムを掴めないと読みにくいのだけれど、慣れればクセになるしむしろハマってしまう(から、文体を模倣する人たちも生まれる)のが困りもの。私自身この本をなんとなく手に取り読み始め、「ハスミ節」に乗せられて最後まで一気読みしてしまった。実験的なものというより、蓮實重彦という人の生理(つまりいい映画を観たら興奮し、悪い映画を観たら腹を立てるというプリミティブな衝動)が露呈したものだろう。それさえ掴めれば蓮實なんて怖くない2021/03/13
GO-FEET
0
阪急かっぱ横丁のバーゲンブック専門店「紀伊國屋書店 アウトレットブック by Kinokuniya」にてなんと790円で売っていたので思わず購入したこの本は「シネマの煽動装置」の続きから始まっているわけだが、蓮實重彦の1987年のベスト10の第1位がルビッチの『死刑執行人もまた死す』で2位にはぼくの大好きなイーストウッドの『ハートブレイクリッジ 勝利の戦場』が、ということは1987年の実質的な第1位は『ハートブレイクリッジ』ということで大変満足した次第である。2011/03/13