映画狂人 シネマの煽動装置

映画狂人 シネマの煽動装置

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309265193
  • NDC分類 778.04
  • Cコード C0074

内容説明

映画を限定する「ファシズム」と、紋切型で受容する「頽廃」に対する大胆な闘争をくり広げる!装いも新たに待望の名著復刊。

目次

ラットゥアーダを透して吸血鬼を垣間見ることの反時代的な興奮について
黒沢現象がフィルム的感性を硬直化させぬためになさるべきことがらについて
映画的記憶の抑圧が真に反動的なものとして機能する場合の危険について
ロバート・ベントンの新作が露呈させた映画的「知」と感性の頽廃について
真に偉大なシネアストはいずれも潜在的な喜劇映画の監督である
殺意の跳梁する映画館で殺人が演じられないことの映画的矛盾について
『地獄の黙示録』をヴェトナム戦争の映画として語ることは野蛮なファシズムである
ベトコンがサーフィンやロシアン・ルーレットの名人であるか否かを問うことの映画的ファシズムについて
たやすく走りだそうとはしない映画がいきなり疾走しはじめることの感動について
昨今の自堕落な大作の責任は、もはや角川春樹ではなく、映画作家の責任に帰すべきであること〔ほか〕

著者等紹介

蓮実重彦[ハスミシゲヒコ]
1936年東京生まれ。映画評論・表象文化論・フランス文学者。前東京大学総長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅん

16
語り得ない物を語らせてしまう「煽動装置」としての映画を観よと煽動する映画狂人の、句点抜きの一文として綴られる五年に及ぶ随筆は時に言い訳抜きの断言、時に沈殿する記憶への彷徨、時に粗雑な言説が持つファシズム性の断罪、時にフィルムとシネアストへの愛の表明を含みながら気ままに流れていき、それが何故心地よいかも判断できぬまま質のよい麻薬を摂取した時の仮死性の幻惑状態に置かれた私としては、中村とうよう氏への罵倒と真夜中に泥棒に声をかける蓮實御大その人の描写に抱腹絶倒となるしかないわけだが、それにしても(以下略)2017/12/17

tsukamg

4
蓮實先生の映画評は、映画を見て掻き立てられたおのれの感情に正直であり過ぎて、そこが面白い。アンチにはそこが腹立たしいのだろうけど。周防監督デビュー作を激賞しておられます。宣伝であり、しかし納得いく解説であり、見たいと思わされます。でも、やはり、情もあるのでしょうなあ。本質的に教育者なのだと思います。80年代前半の雑誌連載。2021/07/21

JunKawa

2
蓮實御大はまさに全盛期で向かうところ敵なしといった感じで、デ・パルマだろうがスコセッシだろうがコッポラだろうが、容赦なく筆誅を加える。対して、フォードやルノアール、アルドリッチらはもちろんのこと、立教大学の愛弟子たる黒沢清や周防正行らには最大級の賛辞を送る。あまりに圧倒的なので、毒気に当てられると勘違いしてしまう可能性大。気持ちはわかるけど、御大一代の至芸なので真似すると恥をかきます。2012/05/10

カトキチ

1
マナーの悪い観客に殺意をおぼえるハスミンに萌え。一冊まるまるワンセンテンスという奇怪な評論本。わかったようなわからなかったような読後感。2012/10/08

みなみくん

0
こちらもラジオで柳下毅一郎さんが推薦された一冊。批評もやはり作品なのだという思いを強くさせた。一読の価値ありですわ。2014/08/31

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