輸血医ドニの人体実験―科学革命期の研究競争とある殺人事件の謎

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  • サイズ B6判/ページ数 310p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309252827
  • NDC分類 492.26
  • Cコード C0047

内容説明

ペストが猛威をふるい、錬金術が未だ科学の範疇にあった17世紀のヨーロッパ。科学者たちの国を挙げての壮絶な研究競争と、輸血にすべてを賭けた医者のドラマを克明に描き、医療のターニングポイントとなったある重大事件の真相に迫る。

目次

医師と狂気の男―歴史上初の輸血
血液循環―ガレノス説の否定
生体実験の時代―デカルトの機械論
ペストとロンドン大火―ロンドンの破壊と再建
『フィロソフィカル・トランザクションズ』―王立協会と学術論文誌
貴族の野心―社会的地位を示す科学
貴族社会と科学者―王立科学アカデミーの創設とモンモール・アカデミーの終焉
フランス王立図書館―フランスとイングランドの戦い
賢者の石―物質変換と輸血
動物から人間へ―輸血の戦いで勝利を目指す
ロンドン塔―オルデンバーグの危機
べドラム―患者の選択
怪物のごとく―独学の医師、アンリ=マルタン・ド・ラ・マルティニエル
未亡人―アントワーヌ・モーロワの妻
毒殺事件―モーロワの死の真相
キメラ―輸血の再開

著者等紹介

タッカー,ホリー[タッカー,ホリー] [Tucker,Holly]
ヴァンダービルト大学医療・健康・社会センター、フランス・イタリア語学部の准教授。医学史が専門。テネシー州ナッシュヴィル在住

寺西のぶ子[テラニシノブコ]
京都府生まれ。成蹊大学経済学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

すけきよ

10
輸血黎明期を知ってる人は少ないんじゃないかなぁ?かなりの鳥肌モノ。最初は犬にスコッチブロスなんかを注入するんだけど、当然死んじゃうわけですよ。犬での成功が続き、ドニは人間に施してみることに。どういうわけか子羊を輸血した一人目は成功し、二人目も成功。しかし……一般的には、死人が出たため、その後、輸血は150年間封印された、と認知されているんだけど、それならば、帝王切開やその他手術も大勢死んでいるのに禁止されなかった。本書では、反対派の陰謀と殺人事件によって輸血が抹殺された真相を、文書から掘り起こしていく。2013/05/22

春風

7
輸血黎明期の物語であると同時に、最初期の精神科治療の物語。17世紀の医師たちは、街中をうろついている狂人を連れてきて羊の血液を輸血してみたのだそうな。患者は高熱が出て生死の境をさまよったあと正気に戻り、医師たちは輸血で狂気が治ったと大喜びするのだけど、それって拒絶反応によるショック療法だよね。2013/06/04

ゆき

5
輸血に捧げた人生。しかしながら止血で名を残すとは皮肉ですね。こういう人たちが居たから・・・・こういう変人によっていろいろなものが進歩するんですね。凡人はその恩恵にあやかるのみ。2013/09/18

ハルト

4
読了:○ 革新的な技術がもたらされるときの、宗教的、倫理的な心の縛りを越える大変さは、今もそう変わっていないのかも。2013/10/11

ロビー

4
最初期の輸血実験の状況を記した本。表題になっているドニの話がなかなか始まらない。イングランドとフランスという科学の覇権争った二国間で、名誉を求めて貧しい出のドニが果敢に挑み、いち早く人への輸血を成功させる。一躍科学会の寵児となったドニが宗教や医療界の確執に阻まれ地位を失うまでの物語。現代の再生医療をなぞらえるあとがきが読みどころ。著者の夫にシンパシーを感じました。2013/08/20

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