出版社内容情報
死因が特定できない遺体、事件性があるか不明な遺体…そして、解剖で判明した驚きの真実とは。熟練の監察医が記憶に残る事件を語る。
内容説明
推理小説やテレビドラマの世界では、監察医は死体を鑑定し、事件の真相を鮮やかに解明していく。しかし現実は、そう一筋縄ではいかない。ときに死因の特定に呻吟し、しばしば遺族の無念に思いを馳せる…。死体と向き合い続けて40年の法医学者が目を瞠った衝撃のリアル!
目次
1章 死体に刻まれた記録。真実はひとつしかない
2章 事件を告発する遺体、犯罪を否定する遺体
3章 社会の病理に斃れた声なき犠牲者たち
4章 証人として出廷し被告人と対峙する
5章 法医学者としてどう遺族に寄り添うか
6章 阪神・淡路、東日本…震災という慟哭の現場
7章 もの言わぬ遺体から授けられた教え
著者等紹介
巽信二[タツミシンジ]
1954年、大阪府生まれ。近畿大学医学部法医学教室主任教授。医学博士(法医学者・監察医)。1980年、近畿大学医学部医学科を卒業後、同大講師、助教授を経て、2007年から現職。1985年より大阪府監察医事務所監察医。大阪府・大阪市被虐待児鑑定医も務める。2010年には法務大臣賞、大阪高等検察庁検事長賞を受賞。大阪府警を中心に捜査協力も行なっており、数々の事件を解決へと導いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
34
解決も無念も悲喜こもごもと、、二万体を検死してきたベテラン監察医の初の著書。「検案書一枚で処理される人の死に対し、最終説明責任者でなければならない」その誠意に敬服。明確に記述していないが【後妻業事件】や【大阪姉妹殺人事件】の事だろうと推測できる案件も見受けられる。阪神淡路、東日本大震災の現場に赴いた経験も語られていた。★3/5◆元監察医の上野正彦氏の著作「死体は語る」と同じジャンルです。2020/01/25
ma-bo
19
2万体以上を検死した法医学者の著書。はっきりとは明かしてはないが、有名な事件の検死だと推測出来る記述あり。また事件(虐待等)性があっても、偶然に起こってしまった事故だとしても幼い子供の検死にまつわる話はやるせない。 法医学者は、人はなぜ死ぬのか、どういう原因で死んだのかというメカニズムを解き明かし、誰にでもわかるように説明しなければならないとの事だ。文章全体を通じて著書の誠実さ、遺体に対する尊厳、誠意を感じられた。2020/02/11
澤水月
17
主に関西の有名事件も多々、裁判にも出廷する。密室犯罪で考察を証拠づけるピンク歯、鬱血が全て…中央に伝わりづらい生々しいエピソードが多い。幼児が父の作った遊具により痛ましい死を遂げた案件の際には開胸はするもあえて開頭はせず(例外中の例外)と冷静だが情誼厚く仕事遂行。東日本大震災支援の現場では福島で被曝を防ぐため「指を採取せよ」と命下るもツメにしろと突っぱねる気骨。幼児や老人臨床もしており、血が温かい。一番驚いた話は孤独死者の脇で共に餓死する大型犬と、飼い主を×らう犬の差…単なる餌係と認識されていると平気で…2020/04/30
ケニオミ
13
検死関係の本は好んで読んでいます。本書も図書館の新刊本コーナーで見つけ、お持ち帰りしました。初めは「ご遺体」など、僕にとって違和感のある敬語が鼻に付いて仕方ありませんでしたが、読了する頃には、作者の遺体に対する尊厳が理解できるようになりました。2020/01/23
こばゆみ
9
「事実は小説よりも奇なり」とはよく言ったものだと、こういうノンフィクション読むと思うな〜 細かく章立ててあるので読みやすく、事例も多いのでミステリー好きな人なんかは特に楽しめると思う。災害の章は読んでいて辛かったけれど、死体と向き合う著者だからこそ言える「死ぬまで生きる」が一層響いた。2021/04/16