内容説明
大地と民衆がふるえあがる現在に最もラディカルな思想と実践と表現の交点から「叛乱の叛乱」を招き寄せる俊英の疾走する思考。世界を破壊する思想入門。
目次
序にかえて 頭痛―知力解放から蜂起へ
『蟹工船』よりも「バートルビー」を―アントニオーニ/メルヴィル/アガンベン
君は「反革命」を覚えているか?―ヒッチコック/赤瀬川/ヴィルノ
聖のび太、聖プレカリアート―ニコラス・レイ/ゲーテ
藤子・F・不二雄
複数の持続を同時に生きよ!―小津/ベルクソン/デ・ホーホ
遊歩者たちは愛し合えるか―タチ/ベンヤミン/フーリエ
思考に外気を送り続けよ―加藤周一
フーコー/デュラス
諦めて、跳べ(賭けを生きる)―パスカル/ロメール/桧垣立哉
顔のファシズム、背中のデモクラシー―山中貞雄/『アンチ・オイディプス』
時間の力を知覚せよ―ドゥボール/アガンベン/ルノワール〔ほか〕
著者等紹介
廣瀬純[ヒロセジュン]
1971年生まれ。龍谷大学経営学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
27
いつもながら廣瀬純のフットワークは軽い。様々な現代思想/哲学や映画を引用して状況を論じてみせる。こちらの無学故に分からないところは多々あるのだけれど、それを越えて「面白い」と思わせるノリの良さがこの著者の持ち味か。触れられている哲学や映画へこちらを誘う説得力もある。それでいてジジェクのような無責任さが(良かれ悪しかれ)ない。この著者にはもっと活躍して欲しいと思う。ジジェクや丹生谷貴志的な論理遊戯を極めて、大著を記して欲しいと……廣瀬の政治的なコミットメントにも興味があるので、引き続き読書を続けたいと考える2018/09/24
nrk_baby
3
廣瀬純が議論したり援用する人物(映画監督も思想家も)についてほとんど知らないけど、それでも楽しめるパワーがあると思う。2014/03/22
;
2
問題を解決する「革命」ではなく、問題を創出しそれとして生きる「蜂起」へと私たちを使嗾する主に映画と思想についての三十二章。外へ出るための本。2015/11/23
ひかり
1
再2014/06/25
世界から忘れられた男
0
インド旅行中に五回くらい繰り返し読んだ。映画と(ざっくり言って)諸々の生成の哲学という二つを接続して繰り出される数々のアレンジメントは、解の提出としての「革命」ではなく問題の提起としての「蜂起」へと読者を向わせる。ペソアを扱った表題作「蜂起とともに愛がはじまる」も素晴らしいが小津とベルクソンを扱った章、そしてドラえもんと〈帝国〉そして「Bigger than life」を繋ぎ合わせた「聖のび太、聖プレカリオ」が出色の出来。「予示的」現在の大いなる肯定!元気付けられる一冊だった。